FP資格の背景にあるもの
「FP」という言葉の知名度は、テレビコマーシャル等の影響も受け一般化しつつあります。
先日、俳優の高橋一生さんが演じる「マネードクター」という役柄のCMを目にしました。
マネードクターが、地域のみなさんのお金の悩みや保険の相談にのることで、お金に関する不安を安心に変え、みなさんに笑顔を届けるという設定です。
自分でお金のことを考える必要性が増してきているこの時代、頼れる人気者の「FP」という役柄で、多くの人から愛される姿が演出されています。
CM広告する企業は、無料FP相談サービスを運営する株式会社FPパートナーです。
マネードクターは、保険や資産形成をはじめ、身のまわりのお金のことまで、お金の専門家であるFPに無料で相談できるサービスです。
FP資格は、金融系企業(銀行・証券会社・保険会社等)が推奨する資格で、FP資格は「営業ツール」として活用されています。
家計や貯蓄等の相談をすることで、投資信託等の金融商品や保険商品等を提案し、販売することを目的としています。
「無料相談」が成立するのは、この為です。
FP資格取得者のおよそ8割は、金融系企業の方々です!
金融系企業では、FP資格取得を推奨し、「資格手当」や「昇格要件」に用いられるケースも多々あります。
企業系FPを否定的な観点で捉えましたが、企業が提供する金融・保険商品等は、時代やニーズにマッチしたものが多いのも事実です。
例えば、
自動車保険においては、ドライブレコーダーの取付と且つ衛星によるモニター監視で事故の状況を詳細に把握し、瞬時に過失割合等が判定できるシステムを有する商品もあります。
高齢者による自動車事故の増加、あおり運転等、時代のニーズにあった商品と言えるでしょう。
自分のお金は自分で守る
FPは、家計や保険、年金、税金など、ライフプランに不可欠なお金全般の知識を備えた専門家です。
金融系FPにおいては、メインは商品販売にあり、家計や貯蓄等の相談はサブ的なものと捉えましたが、一般の方にとっては、メインとサブが逆転するものと考えられます。
自分のお金は自分で守る!
考えて見て下さい。
「あなたは他人のお金を我が身のお金と思い真剣に考えることができますか?」
FP資格では、ライフプランに不可欠なお金全般について学びます。
保険や資産運用等は、その「一角」に過ぎません。
少なくても販売側のいいなりで商品を購入することはなくなります。
購入する際は、自身が商品の特性やリスク等をきちんと把握した上で購入することでしょう。
自分が学ばなくても、その道の専門家に任せればいい?
と考える方もいることでしょう。
FPを学び、間接的に学んだこと、それは金融系企業の社員の多くが、その道の「専門家」ではなく、その道の「販売員」に過ぎないと言うことです。
銀行や証券会社の社員であれば、投資信託等の金融商品の専門家と思いがちです。
投資に関する知識が全くなければ、自分よりも金融商品の知識がある者に委ねるといった考えを持つかもしれません。
金融庁の調べでは、
「投資信託は46%の個人が運用損失を出している」
と警笛を鳴らしています。
投資と言えば、当然ながら資産が増えることを期待していますが、金融機関によって運用成績が異なることがわかります。
金融庁は「KPI」という言葉を使っていますが、金融機関の「成績表」と言えます。
先程、金融系企業の社員の多くが「専門家」ではなく「販売員」に過ぎないと表現しましたが、企業自体が「専門家」と呼べないレベルの金融機関が数多く存在します。
FP資格においても資産運用を学びますが、当然ながら「専門家」と呼べるレベルには程遠く、投資のしくみや投資リスク等の知識を得る程度です。
FP資格取得の意義は何か?
家計の専門家として、お金に関する話題に関心を持つことができ、本質的な問題点や実情の把握・理解ができるようになります。
FP資格取得で得る知識は、直接的に家計に影響を及ぼすものは余り多くありません。
しかしながら、
例えば、年金問題等の社会情勢の実情を把握する上での知識として役立ちます。
逆を言えば、FPを学ばなければ、お金に関する話題に関心を持てても、本質を理解することが難しく思えます。
一般の人にとってFP資格は、「お金の関心事」や「家計の諸問題」を把握し解決する上で、知識として必要なツールと言えます。
これまで、単に「FP資格」と述べてきましたが、上記の目的であれば「FP3級」で十分でしょう。
「自分のお金は自分で守る」
この観点で、重要な役割を果たすのは間違いないことでしょう。