幼保無償化で約500億円の財源不足!補正予算に計上だけでは国民は納得しない

独り言

2019年12月12日

幼児教育と保育の無償化にかかる経費が、今年度は予算に計上している額を最終的におよそ500億円上回る見通しとなったことが分かりました。保育所の利用者が想定より多かったことなどが要因で、政府は、不足分を今年度の補正予算案に計上することにしています。

消費税率の引き上げに併せて10月から始まった幼児教育と保育の無償化で、政府は今年度の経費として3882億円を予算に計上しています。

内閣府によりますと、その後、自治体を通じて10月1日時点の利用状況などを調べた結果、当初の想定より認可保育所の利用者が多かったほか、所得に応じて設定されている保育料の金額についても比較的高い利用者が多かったということです。

このため今年度、必要な経費は最終的に4375億円となり、財源が493億円不足する見通しになったということです。

不足分の内訳は、私立の認可保育所や一部の幼稚園の費用が302億、自治体が運営する公立の保育所などの費用が191億となっています。

政府は今年度の補正予算案に、不足分の経費を計上することにしています。

また、内閣府によりますと今回の調査を踏まえると来年度の経費も当初の想定の7700億円を上回り、8000億円を超える見通しだということです。

無償化にかかる経費は来年度以降、一部を地方自治体が負担することになっていて、自治体の負担も増す見通しです。

出典:NHK NEWSWEB 幼保無償化 約500億円の財源不足に 保育所利用者が想定上回る

今年の10月に始まったばかりの「幼児教育・保育の無償化」

11月21日の報道では、今年度の財源が300億円超足りなくなる見通しと言われていました。

それから1ヵ月も経たずして、財源が493億円不足する見通しとなっています。

10月の消費増税で引上げ増収分を充てる看板政策でありながら、開始2ヵ月で約500億円の財源不足、見通しを誤ったにしては余りにも杜撰な制度設計と言えます。

3~5歳児は原則全世帯、0~2歳児は所得の低い住民税非課税世帯を対象に、認可保育所や幼稚園の利用料が無料になりました。

認可外保育所を利用する場合も、上限はあるものの利用料が補助される仕組みです。

認可保育所等の利用料は、無償化以前から低所得世帯に対し減免措置があり、所得が高いほど高額になる応能負担でした。

そのため、今回の無償化に対して「高所得者優遇」との批判の声もあります。

財源不足であれば、無償化の対象を低所得者に限定する等、制度自体の見直しを検討すべきと思われます。

また無償化と言うものの、「便乗値上げ」により国の補助金を上回る料金を自己負担しなければならず、実質的に無償化でない方々もいます。

この「便乗値上げ」に対しても政府は言わば容認しています。

「あくまでも保育施設と利用者との間での契約に基づくものなので、値上げをした分、利用者がサービスの対価を得られるのなら値上げをしてはいけないということではありません。保育施設の中には今までも値上げしているところもあり、無償化のタイミングだから値上げが許されないとはいえません」(内閣府担当者)

子育て世代の経済的負担軽減が目的ですが、一部の幼稚園や認可外保育施設等に税金が流出してると言っていいでしょう。

 

半期で約500億円のズレは補正(予算)レベルの話ではなく思えます。

今後も年間約1000億円のズレで推移するのであれば、当初の予算内で収まるよう制度自体を見直すか、現状の制度を維持するにしても国民への説明は必要です。