後期高齢者医療制度の上限額2万円引上げ!影響は高所得者限定の報道に潜む影

独り言

2019年11月20日

75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」の保険財政を改善するため、厚生労働省は、所得の高い人については年間の保険料の上限額を来年度から2万円引き上げて、64万円にする案をまとめました。

高齢化の進展で医療費が膨らみ、公的医療保険の財政が悪化しているため、厚生労働省は75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料を2年に1度見直していて、来年度からの見直し案をまとめました。

それによりますと、年間の保険料の上限額を今の62万円から2万円引き上げ64万円にするとしています。引き上げは去年の改定に続いて2回連続です。

厚生労働省の試算では上限額を支払うことになるのは年金収入がおよそ910万円以上の人で、加入者全体の1.29%が対象となる見通しです。厚生労働省は、この案を21日の社会保障審議会の部会に示すことにしています。

厚生労働省は自営業者などが加入する国民健康保険についても保険料の上限額を来年度から2万円引き上げる案をすでに示していて、高所得者に一定の負担を求めることで保険財政の維持を図りたい考えです。

出典:NHK NEWSWEB 後期高齢者医療制度 年間保険料の上限額 2万円引き上げ案

サラリーマンであれば現役時代は、組合健保・協会けんぽ・各種共済組合等、退職すれば国民健康保険、75歳以上になれば「後期高齢者医療制度」に移行するのが一般的でしょう。

「後期高齢者医療制度」を運営しているのは、都道府県別にある「後期高齢者医療広域連合」です。

広域連合とは、都道府県が制度を運営し市町村が窓口となっています。

そのため都道府県ごとに保険料が異なります。

後期高齢者医療制度の保険料の算定方法を簡単に解説します。(令和元年度:東京都の場合)

保険料(年額)=均等割+所得割

保険料は、被保険者の全員が負担する「均等割」と、前年の所得に応じて負担する「所得割」の合計額です。

均等割:43,300円

所得割:(前年所得-33万円)✕8.80%

保険料(年額)=43,300円+(前年所得-33万円)✕8.80% (東京都の場合)

となります。

33万円以上の所得があれば所得割が発生しますが、前年所得が年金収入の場合は「公的年金控除」があります。

例えば収入金額が330万円未満であれば120万円が控除されます。
(収入額に応じて控除額は異なります)

120万円と33万円のあわせて153万円を超えると所得割が発生することになります。

 

後期高齢者医療制度で問題となるのは、都道府県ごとで決められる保険料率です。

上記の東京都の例でいうと、

均等割43,300円と所得割の率は8.80%

北海道の場合は、

均等割50,205円で所得割の率は10.59%です。

地域格差が大きくあることが分ります。

この額と率(以後、保険料率)を決めているのは、制度を運営している都道府県の後期高齢者医療広域連合会の「議会」で決定されます。

政府の決定する上限額以上に、実際に支払う保険料額に影響するのは、広域連合会の議会で決定する「保険料率」と言えます。

「保険料率」は2年単位で設定され、都度見直されています。

政府が上限額を上げるのは「後期高齢者医療制度」の財政悪化が理由です。

地域差があり一概に連動するとは言えませんが、広域連合会(都道府県)が決める「保険料率」も傾向としては高まることでしょう。

政府が上限額を2万円上げたことで、直接影響を受けるのは加入者全体の1.29%の「高額所得者」かも知れません。

しかしながら、実際に保険料を支払う後期高齢者への影響は図り知れません。