2021年2月20日 産経新聞
子供が親しみを込めて友人を呼ぶ際に使う「あだ名」が近年、学校現場から消えつつある。人気漫画「ドラえもん」に登場するジャイアンなどがよく知られるが、小学校では名字に「さん」をつけて呼ぶのが望ましいとする指導が定着。平成25年に施行された「いじめ防止対策推進法」がこうした流れを加速させたとの見方もあるが、いじめは減っていないのが現状だ。(加納裕子)
「先生の前では、男の子も女の子も『さん』付け。子供同士では下の名前で呼び合っています」。大阪府八尾市で小学3年と1年の姉妹を育てる女性(48)はそう話す。親しみやすいあだ名がないのは寂しい気もするが、自身の子供が嫌なあだ名で呼ばれるリスクを考えると「仕方がない」と感じるという。
兵庫県内のベテラン小学校教諭によると、勤務先の学校では15年ほど前から、友達同士であっても校内では名字に「さん」を付けて呼ぶよう指導している。目的はいじめ防止もあるが、どの児童にも公平な授業スタイルという観点から始まったという。
昨年10月ごろ、SNS上で「小学校の校則であだ名が禁止されている」と話題に。これを受けて、ネット調査を手がける「日本トレンドリサーチ」が同11月、男女1400人にインターネット調査したところ、小学校の校則であだ名が禁止されることについて、「賛成」は18・5%、「反対」は27・4%、半数以上の54・1%が「どちらでもない」と回答した。
回答者の69%は、小学校の時にあだ名があったといい、このうち36・7%はあだ名で「嫌な思いをしたことがある」とした。小学校の時のあだ名を否定的にとらえた人たちは「身体的特徴や見下すようなあだ名だった」「良いあだ名かどうかは言われている本人にしかわからない」などと指摘。逆に前向きにとらえた人たちは「親しみが感じられるので、友人との距離が近くなる」などとした。
小学校内であだ名で呼びあうことがなくなったことで、いじめ防止の効果はあったのか。兵庫県内の教諭は「目に見えて変な呼び方をされるということがないだけで、いじめは減ってはいない」と断言する。
実際に文部科学省の調査では、令和元年度のいじめの認知件数は前年度から6万8563件増加し、61万2496件と過去最多を更新した。携帯電話やスマートフォンなどでの誹謗(ひぼう)・中傷といった「ネットいじめ」も増え続けている。
「あだ名」は一般的に、周囲の人が命名するケースが多く、親しみのある「あだ名」もありますが、確かに他人には言われたくない嫌な「あだ名」もあります。
例えば、ネット上では「アカウント」と称し、自分自身で呼名を決めることができます。
「あだ名」もアカウントのように自分で決められたら、嫌な「あだ名」は無くなるかも知れません。
ただ自分で決めた「あだ名」は、他人には普及しにくいかもしれません。
小学校の校則であだ名が禁止されることについて、
「反対」27・4%
「どちらでもない」54・1%
インターネットでの調査結果やいじめの減少に繋がらないのであれば、「あだ名」は禁止するに値しないよう思われます。
「あだ名」のデメリット以上に親しみやすさ等といったメリットの方が大きいよう思われます。
あだ名が無くなったことで、逆にいじめの状況が見えにくくなったようにも思われます。
教師が「あだ名」を知ることで、もしかしたら「いじめ」られているかも?
そんな憶測が働くケースを失うことになります。
「〇〇さん」と一般に呼ぶ大人であっても、いじめやハラスメントは無くなることはありません。
子どもたち、一人一人の個性を重視するのであれば、「さん」付けは一律感があり、個性を無視しているよう思われます。
LGBTの方であれば、下の名前で性別が推測されるケースがあります。
下の名前が嫌いな方も相当いることでしょう。
いじめの防止やどの児童にも公平な授業スタイルという観点から始まったとされる「あだ名」の禁止。
「いじめ防止対策推進法」がこうした流れを加速させたとも言われていますが、「あだ名」の禁止は、いじめの根本的な部分には目を向けず、あくまでも表面的な取組のように感じられます。