記述式問題導入見送り決まる!混乱を深めた萩生田大臣の対応のまずさ

独り言

2019年12月17日

再来年1月に始まる大学入学共通テストでの記述式問題について萩生田文部科学大臣は「受験生の不安を払拭(ふっしょく)し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点では困難だ」として導入を見送ることを発表しました。

国語と数学の記述式問題の導入にあたって萩生田文部科学大臣は記者会見で、実際の採点者が決まるのは来年秋から冬になることや、採点ミスを完全になくすことは期待できないこと、採点結果と受験生の自己採点の不一致を格段に改善することは困難だなどと説明しました。

そのうえで「受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点では困難だ」と述べ、再来年1月に始まる大学入学共通テストでの導入を見送ることを発表しました。

そして、萩生田大臣は「共通テストに向けて勉強している受験生や保護者、教師をはじめ関係者の皆さんには、ご迷惑をおかけする結果となりまことに申し訳なく思うが理解してほしい」と述べました。

一方で、論理的な思考力や表現力を評価する記述式問題の役割は重要だとして各大学の個別試験では記述式問題の積極的な活用を要請する考えを示しました。

また、みずからのもとに新たな会議を設け、記述式試験の充実策を検討する考えも示しました。

大学入学共通テストをめぐって、文部科学省は英語の民間試験の導入延期を発表していて、大学入試改革の2つの柱の実施が見送られることになりました。

出典:NHK NEWSWEB 記述式問題 導入見送り発表 萩生田文科相

<今までを少し振り返ってみましょう>

2019年9月11日
第4次安倍再改造内閣で文部科学大臣に任命された萩生田文部科学大臣。

10月24日
生放送のBSテレビ討論番組で、民間英語試験で受験生に格差が生じるリスクが取り上げられ、番組内で大臣は以下のように述べました。

「そういう議論もね、正直あります。ありますけれど、じゃあそれ言ったら、『あいつ予備校通っててずるいよな』というのと同じだと思うんですよね。だから、裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の、あの、私は身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで、勝負してがんばってもらえば」

いわゆる「身の丈」発言です。

10月28日
「どのような環境下にいる受験生も自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会をとらえて、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものだった」
「国民の皆様、特に受験生の皆さんに不安や不快な思いを与える説明不足な発言であった」

と謝罪に追い込まれます。
ただ、「どんなに裕福でも2回しか結果は提出できないので、条件は平等」と強調
発言は撤回せず、「民間試験なので、全ての人が2回しか受けてはいけないというルールにはできない」と釈明しています。

11月1日
英語民間試験について「来年度からの導入を見送る」と発表しました。

「今後、検討会議を設け、英語の民間試験を活用するかどうかを含め、1年をめどに結論を出す」と表明します。

11月2日
新たに導入される国語の記述式問題でも複雑な採点方法に課題があり、批判や疑問の声が高まっていることで野党側が追及する姿勢を見せます。

11月7日
立憲民主党の蓮舫副代表は、東京都内の高校生らが文科省に提出した「大学入学共通テスト」の中止を求める約4万2千人分の署名について、萩生田氏に「読まれましたか」と質問すると、萩生田大臣は「読む暇がなかった」と答弁しました。

11月14日
立憲民主や国民民主などの主要野党は、大学入学共通テストの国語と数学に導入が予定されている記述式問題の中止を求める法案を衆院に提出。

12月6日
「与党からの要望を重く受け止めていきたい」としたうえで、延期の検討はしていないと強調
「課題に対してどのような改善が可能か、さまざまな方策について検討している」とし、現時点では予定通りの実施を前提に対応していることを明らかにしました。

萩生田大臣の出した結論には異論がありませんが、結論に至る過程で国民を混乱させたのは明らかです。

記述式問題に関しても、10日程前までは「延期の検討はしていない」旨を強調しており、今回の結論に至るのであれば、もう少し謙虚な発言をすべきだったと思われます。

国会での委員会の際も、野党からの意見には「聞く耳を持たない対応」を貫き、高校生らの署名にも「読む暇がなかった」の答弁に呆れる次第です。

野党の議員の中には、高校生の声を代弁して大臣に伝えている方もいましたが、真摯に聞き入れる姿勢は見られませんでした。

政治家として「意見を聞き入れる態度」を示せないのは致命的な欠陥であり、このことが国民の混乱を助長したように思えます。

「与党からの要望を強く受け止めたい」

国民からの要望は、強く受け止めていなかったのでしょうか?

この発言からも大臣としての保身しか考えていないよう伺えます。

萩生田大臣の政治家としての「身の丈」が問われます。