2019年8月30日
日本郵政グループは、不適切な販売問題を受けて営業活動を自粛しているかんぽ生命の保険について、ことし10月1日から段階的に営業を再開することを明らかにしました。再開にあたっては、70歳以上の顧客には積極的に保険を勧めないなどの再発防止策をとるとしています。
日本郵政グループは、かんぽ生命の保険の販売で不適切な事例が多数見つかったことを受けて、保険の営業活動を自粛しています。
これについて会社は30日、不適切販売についての調査の中間報告を来月中に行うことなどを踏まえ、ことし10月1日から段階的に営業を再開すると発表しました。
再開にあたっては再発防止策をとるということで、70歳以上の顧客に対しては、契約が満期になって顧客側に加入の意向がある場合などを除き、積極的に保険を勧めることを禁止するとしています。これまでは80歳以上の高齢者が対象でした。
また、古い契約を新しい契約に乗り換える場合、保険内容を提案する前に、郵便局の営業担当の部長などが顧客の意向を確認するとしています。
今回の問題では、高齢者に対して顧客に不利になるような保険の販売をしていた事例が明らかになっているだけに、再発防止策を着実に実行できるか問われることになります。
出典:NHK NEWSWEB かんぽ生命 10月から営業再開へ 70歳以上には積極的に勧めず
10月1日から段階的とは言え、営業再開を明言するのは時期尚早ではないでしょうか。
不適切販売については現在調査中であり、中間報告は来月中に行われることになっています。
また、来月中旬には金融庁が「立ち入り検査」を行う方針を固めています。
不適切販売の調査中の段階であり、金融庁の処分すら決まっていない状況です。
再発防止策とし示しているのは、
・古い契約を新しい契約に乗り換える場合、保険内容を提案する前に営業担当部長が顧客の意向確認をする。
これは小手先の再発防止策に過ぎません。
不適切販売の全容が解明されるまで、経営側は安易に営業再開を明らかにすべきではありません。
最終的には、金融庁の判断が入ることでしょう。
仮に6ヶ月の「業務停止命令」を下されれば、10月の再開はできません。
経営側は、自分たちの置かれている立場を本当に理解しているのでしょうか?
国民からすれば、全国規模での不祥事であり不適切販売が局所的に行われたのか、蔓延的に行われたのか気になるところです。
例えば、法令違反件数が仮に22件すれば、47都道府県なので全く違反のない地域もあることでしょう。
法令違反のない地域では、少なからず安心できます。
地域に1件でも法令違反があるのであれば、法令違反を犯した局員が必ず存在します。
少なくても、その地域で保険を販売する局員に対しては、再教育を行い法令遵守を徹底して欲しいものです。
また、悪質な法令違反を犯した局員については、「保険募集人」としての資格剥奪等、局員個人に対しても厳しい措置が下されるべきです。
なぜ局員が、悪質な法令違反を犯したのか原因を追究し、組織として生み出したものであれば組織体制や人事配置の見直しを行うべきです。
また新たな疑惑も浮上しています。
2019年7月31日のNHKクローズアップ現代では、電子サインが契約書に転写された疑いがあるとの報道がありました、
「営業報告のためのサイン」と促され、タブレット端末にサイン、そのサインが契約書に転写された問題です。
筆跡データを保存して、他の書類に転写できる機能を有するタブレット端末。
そんなタブレットにサインすることは、白紙委任状にサインするのと同じようなものです。
事実を明らかにし、当事者を厳罰と処すのは勿論、システム改修する等の対応が必要となります。
10月1日から営業再開を示したのは時期尚早であり、経営側の危機感は皆無といっていいでしょう。
民間の保険業者であれば「免許取消」といった金融庁の処分も想定されます。
郵政民営化は国策でもあり、そのような処分は下されないと思われますが、金融庁は事実を明らかにし厳正なる処分を下すことを願います。