かんぽ生命 10年前にも業務改善命令!
「株式会社かんぽ生命保険」は、2006年9月郵政民営化法に基づき「株式会社かんぽ」が設立、翌年の10月に商号変更し「株式会社かんぽ生命保険」が誕生しました。
2006年設立から僅か3年、2009年12月に金融庁は業務改善命令の処分を下しています。
処分理由を簡単に言えば、かんぽ生命の業務における郵便局社員の「横領事件」です。
社内調査の結果では、合計5億円以上の横領(被害者数46名)が行われていたことが明らかになっています。
金融庁は、行政処分として「株式会社かんぽ生命保険」と「郵便局株式会社」に「業務改善命令」が出されました。
平成21年12月4日 金融庁 関東財務局
~以下抜粋です~
1.株式会社かんぽ生命保険に対する業務改善命令の内容
(1)法令等遵守態勢を確立し健全な業務運営を確保するため、以下の観点から内部管理態勢を充実・強化すること。
○法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化(責任の所在の明確化を含む。)
○全社的な法令等遵守意識の醸成
○不祥事件(過去の類似のものを含む。)に対する抜本的な再発防止策の策定による全社的な法令等遵守態勢の確立
○郵便局における内部牽制機能の充実・強化
○内部監査機能の充実・強化
○適切な人事管理の実施
○不祥事件の発覚後の対応の迅速化・適正化
○郵便局株式会社に対する指導・管理の充実
2.郵便局株式会社に対する業務改善命令の内容
(1)法令等遵守態勢を確立し健全な業務運営を確保するため、以下の観点から内部管理態勢を充実・強化すること。
○法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化(責任の所在の明確化を含む。)
○全社的な法令等遵守意識の醸成
○不祥事件(過去の類似のものを含む。)に対する抜本的な再発防止策の策定による全社的な法令等遵守態勢の確立
○郵便局における内部牽制機能の充実・強化
○内部監査機能の充実・強化
○適切な人事管理の実施
○不祥事件の発覚後の対応の迅速化・適正化
○郵便局株式会社に対する指導・管理の充実
以外の項目は2社とも全く同じ内容です。
一項目づつ見ていきましょう。
法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化(責任の所在の明確化を含む。)
当時は責任の所在が明確化されていなかったのでしょう。
今回の不適切な販売に関しては、責任の所在は明らかなはずです。
責任のある者に対し、しっかり処罰して欲しいものです。
全社的な法令等遵守意識の醸成
全社的な法令等遵守意識など微塵も感じられません。
経営陣は「法律違反はない」と主張していましたが、保険業法に完全に抵触しています。
経営陣は法律を知らいのでしょうか?
昨年、NHKのクローズアップ現代に取り上げられた時点で、法律違反の事象が見られています。
社内の内部調査とは、NHKの取材よりレベルが低いのでしょうか?
知らないのであれば、法令等遵守意識など醸成できる訳がありません。
知っていたなら、完全に隠蔽体質の企業です。
不祥事件(過去の類似のものを含む。)に対する抜本的な再発防止策の策定による全社的な法令等遵守態勢の確立
この業務改善命令の以前から不詳事件があったのでしょう。
抜本的な再発防止策の策定と全社的な法令等遵守態勢の確立が求められています。
郵便局における内部牽制機能の充実・強化
郵便局における内部牽制機能が充実・強化されていれば、今回の件は発生しなかったでしょう。
内部牽制機能は全く機能していないと言っていいでしょう。
内部監査機能の充実・強化
内部監査機能の充実・強化が図られていれば、今回の件は発生しなかったでしょう。
内部監査機能に関しても、全く機能していないと言っていいでしょう。
適切な人事管理の実施
社員に対するパワハラ疑惑も浮上しています。
適切な人事管理が実施されていたのか疑問です。
不祥事件の発覚後の対応の迅速化・適正化
事件の発覚後の対応です。
「顧客の利益にならに可能性がある保険の乗り換え」と表現し、「法律違反はない」と明言。
件数もなぜか昨年11月分の5,800件と公表
>2019年6月27日
「顧客に不安が広がっている」という理由で追加調査する。2万4千件と公表
>2019年7月8日
ようやく故意に保険料を二重払いさせたことを認める。更に2万2千件と公表
>2019年7月10日
かんぽ生命保険及び日本郵便の社長が謝罪会見。
悪質な「乗り換え潜脱」であり、不利益を与えた顧客は9万件以上と公表