2019年8月29日
東京 板橋区のアパートで、88歳の母親とみられる遺体を放置したとして、53歳の息子が警視庁に逮捕されました。調べに対し「何も考えられなかった」と供述しているということです。
29日午前4時前、東京 板橋区大山西町のアパートに住む男から「自宅で母が亡くなった」と警視庁に110番通報がありました。
警察官が駆けつけたところ、寝室の布団の上で、88歳の母親とみられる女性が袋に包まれた状態で遺体で見つかり、死後1週間から10日ほどたった状態だったということです。
目立った外傷はなかったということです。
警視庁は遺体を放置したとして、この部屋に住む無職の本村克之容疑者(53)を逮捕しました。
本村容疑者は母親と2人暮らしで、母親の年金で生活していたということです。
調べに対して「今月19日に母親の息が止まり、亡くなったと思った。警察や消防に連絡すればよかったが、何も考えられなかった」と供述しているということです。
警視庁は、詳しいいきさつを調べることにしています。
出典:NHK NEWSWEB 母親の遺体放置か 53歳の息子を逮捕 東京 板橋
自ら通報するも、死後1週間から10日ほど経ち、遺体を放置した罪で息子が逮捕されました。
罪とは「死体遺棄罪」です。
亡くなった家族の葬儀を行わず、自宅に死体を放置した場合でも、この罪に問われます。
一般的には、法律や条例に従って自治体の許可を得て、火葬し、墓地に埋葬する方法がとられます。
死体は腐敗によって異臭を発したり、ハエなどの病害虫の発生源になる恐れがあり衛生面に問題があります。
それ以上に、遺体は尊厳をもって扱われるべきとされており、今回のように放置することはあってはなりません。
死体遺棄罪は刑法190条に規定されており、「3年以下の懲役」とされています。
容疑者も警察や消防に連絡すればよかったと対応方法は知っていました。
「何も考えられなかった」とありますが、母親を亡くし、生活の命綱である年金を失い、これからの人生を考え呆然としていたことでしょう。
周りに相談できる人が一人でもいたら、容疑者の対応も変わっていたと思われます。
8050問題は、社会から孤立することが問題であり、孤立することで解決策を見いだせないケースが見受けられます。
社会的支援とは、まず孤立状態から救うことでしょう。
今回の事件で、
容疑者が「ひきこもり」かどうかは分かりませんが、無職ということは、どこかの時点から家にいることが多くなったのでしょう。
例えば、
88歳の母が70代の時に、介護の為に会社を辞めて無職になったのかも知れません。
母親の介護をしているので、一般に言われる「ひきこもり」とは異なります。
しかしながら、無職で母親との二人暮らし、社会と孤立している状況であれば「8050問題」と同様の手立てが必要です。
この場合、どこに相談したらいいのでしょう?
市町村にある「生活困窮者自立支援窓口」がありますが、基本的には就労ありきの相談窓口です。
無職であれば就労支援が伴った支援はありますが、就労の意思がなければ公的機関における相談窓口が見当たりません。
公的機関における「支援メニュー」が十分でないと言えます。
現状「生活困窮者自立支援窓口」では、「ひきこもり」の相談も受付けています。
就労の意思がなくても、相談すれば応じてくれるものと思われます。