中間報告で露呈した法令違反件数
2019年9月30日
日本郵政、かんぽ生命、日本郵便の3社長による内部調査の中間報告が行われました。
調査対象は、不適切な可能性のある過去5年間の契約およそ18万3000件です。
進捗率は、4割以下での中間報告となりました。
今回の記者会見で明らかになった数字は、
うち法令違反がおよそ1,400件
いずれも不正が疑われる事例としての件数とされています。
着目すべきは、進捗率4割以下の中間報告の段階で、およそ1,400件の「法令違反」が露呈している点です。
「法令違反」とは、端的に言えば犯罪です
例えば、
1年以上の懲役もしくは100万円以下の罰金に処され、またはこれを併科されます。
保険募集人の資格を持つ郵便局員(及びかんぽ社員)は、刑事責任を問われることになります。
社内ルール違反も悪質なケースと言えますが、社内で処分されるだけで、刑事責任を問われることはありません。
社会的責任といった観点で、法令違反は別格と言えます。
法令違反を社内判断していいのか?
不正が疑われる事例は6,327件ですが、この件数は顧客からの聞き取りをもとにした件数であり、今後は局員から聞き取りをし、事実関係を明らかにしていく旨を表明しています。
両者が異なった言い分や認識の場合、グループ内のコンプライアンス部門が総合的に判断するとしています。
これまで不正を見逃してきた身内の調査で、法令違反の有無を判断していいのでしょうか?
社内内部調査と並行して行われている「金融庁検査」
金融庁は、内部調査やコンプライアンスに関わる判断が適切に行われているか、厳しくチェックすることと思われます。
保険業法に関する問題であれば、金融庁の監視のもと内部調査で判断できるかもしれません。
しかしながら、保険業法の枠を超えた事案に対しては判断できないものと思われます。
NHKクローズアップ現代は、この枠を超えた事案を報道しています。
クローズアップ現代「検証1年郵便局・保険の不適切販売」~電子サイン転写報道
同番組は今年の7月31日に報道されました。
この中で、電子サインが転写され保険契約が成立した事案が紹介されています。
簡単に説明すれば、
ここまでの不正となると、社内調査だけでは明らかに処分できない事案となります。
保険業法の枠を超える、言わば事件と言えるでしょう。
今後、文章の偽造や詐欺罪など、場合によっては「警察の介入」が必要となるケースがあるものと考えられます。