就職氷河期に限定した求人認める!片やリストラは見殺しか?

独り言

2019年9月1日

いわゆる「就職氷河期」世代の正規雇用を増やすため、厚生労働省は企業が求人を出す際に年齢制限を設けることを禁じた法律の運用を緩和し、ハローワークに限ってこの世代に限定した求人を認めることになりました。

「就職氷河期」世代は、バブル崩壊後、新卒の就職が特に厳しかった時期に社会に出た30代半ばから40代半ばの人たちで、政府はことし6月この世代の正規雇用を3年間で30万人増やす方針を示しています。

これを踏まえ厚生労働省は、企業が求人や採用を行う際に年齢制限を設けることを禁じた法律の運用を緩和し、ハローワークに限ってこの世代に限定した求人を認めることになりました。

具体的には、▽この1年間、正社員としての雇用がない人や▽非正規雇用の経験が多く安定した就労の機会が乏しい人などを採用することを前提に、求人票に対象の年齢を35歳から54歳までと記載することができます。

一方で、求人には▽雇用の期間を設けず、▽同じ職での経験を条件としないこととしています。厚生労働省は、全国のハローワークに「就職氷河期」世代のための専門の窓口も設置する方針で、今後、就労支援に力を入れることにしています。

出典:NHK NEWSWEB ハローワーク 「就職氷河期」世代に限定した求人も認める

先日8月23日、厚生労働省は来年度から全国60カ所余りのハローワークに、所謂「就職氷河期」世代の支援強化として専用窓口を設置する方針を示しました。

専用窓口では、就職から職場の定着までの支援を一貫して行う予定です。

現状、企業が求人や採用を行う際、「年齢制限」を設けることが禁じられています。

雇用対策法が改正され、平成19年10月から、事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないとされ、年齢制限の禁止が義務化されました。

例外もあります。

例えば、

「演劇の子役のため、○歳以下の方を募集」

法律の運用面で緩和されている一例です。

芸術・芸能分野における表現の真実性等の要請がある場合は年齢制限が認められています。

「イベントコンパニオン、30歳以下の方を募集」であれば、年齢制限は認められません。

今回、ハローワークに限り、求人票に対象の年齢を35歳から54歳までと記載することができるよう運用面での緩和が図られています。

求人票を見れば「就職氷河期」世代の受け入れを対象とした求人ということがわかります。

この年齢制限を表記するには条件があります。

記事では、

・この1年間、正社員としての雇用がない人
・非正規雇用の経験が多く安定した就労の機会が乏しい人
・雇用の期間を設けず、同じ職での経験を条件としない

なぜ、このような条件があるのでしょう。

条件をクリアーした者を雇用すると、

大企業には総額50万円、中小企業には総額60万円の助成金が支給されます。

今年4月から、助成金の対象となるのは、

正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない人」

助成金制度<安定雇用実現コース>

イメージとしては、

就職氷河期に高校、大学を卒業して正規雇用に就けず、フリーターや派遣として働き、現在において35歳を超えた人が対象と言えます。

従来の条件は、

「失業状態で正社員雇用を希望し、雇入れ日に満35歳以上60歳未満で、過去10年間に5回以上離職または転職を繰り返している人」

助成金制度<長期不安定雇用者雇用開発コース>

「長期不安定雇用者」という名称のイメージの悪さや「過去10年間に5回以上の離職・転職」という条件の厳しさから申請数が低迷していました。

助成金利用は予算に対し1割未満と言われています。

条件のハードルはかなり低くなりましたが、助成金が利用されるかは疑問です。

また、求人票の対象年齢が35歳から54歳までとなっていますが、リストラされた方の求人対象ではないことになります。

政府は、就職氷河期の非正規社員に目を向けていますが、リストラの年齢層とも重複しており片や見殺しの感があります。

 

兵庫県宝塚市では、就職氷河期の世代を対象に正規職員の募集をしたところ、3名程度の募集に1,800人以上の応募がありました。

倍率は600倍以上の狭き門となっています。

厚生労働省が7月に公表した有効求人倍率は1.59倍(2019年7月)となっていますが、これだけ応募が殺到すると言うことは、魅力ある求人先が少ないものと思われます。

数値的に見れば「売手市場」ですが、数値では測れない「就職難」が蔓延しているのでしょう。