【梶山大臣】石炭火力発電所による発電量を今後10年で9割削減!COP25を振り返る

独り言

2020年7月3日

二酸化炭素の排出が多い古い石炭火力発電所について、梶山経済産業大臣は3日の記者会見で発電量の段階的な削減に向け、具体的な検討を始める方針を明らかにしました。

この中で梶山大臣は「脱炭素社会の実現を目指すために非効率な石炭火力発電所のフェードアウトや再エネの主力電源化を目指していくうえで、より実効性のある新たな仕組みを導入すべく、今月中に検討を開始するよう指示した」と述べ、二酸化炭素の排出が多い古い方式の石炭火力発電の段階的な削減に向け、検討を始める方針を示しました。

そのうえで、梶山大臣は「2030年に向けて、安定供給を確保しつつ非効率な石炭火力の早期退出を誘導するための仕組みの創設や、再エネ導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直しなどについて検討を進めてきたい」と述べ、石炭火力の削減にあわせて、再生可能エネルギーの導入を進める対策も検討する考えを示しました。

これを受けて経済産業省は近く有識者による会議を設け、古い石炭火力発電所による発電量を2030年度までに9割程度、およそ100基分を削減する方向で検討が進められる見通しです。

古い発電所の休止や廃止などを進めるための規制的な措置の導入や、災害などの際に大規模な停電を防ぐ対策なども検討される予定です。

経済産業省は年内をめどに結論をとりまとめたい考えです。

出典:NHK NEWSWEB 古い方式の石炭火力発電 段階的削減に向け検討へ 経産相

昨年の12月3日

梶山経済産業大臣が「石炭火力発電所は選択肢として残していきたい」

と述べたのを受け、スペインで開かれている「COP25」の会場では、国際NGOが、温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に日本を選びました。

日本の電力における石炭の依存度は3割程度と言えます。

極端に日本だけが、石炭に依存している訳ではありません。

インドは7割以上、中国は6割以上を石炭に依存しており、先進国でみればドイツやアメリカと同程度の依存度です。

なぜ、日本がCOP25で槍玉に上がったのか?

国連の事務総長が、温暖化対策の強化と石炭火力発電の利用をやめるよう各国に求めた翌日の発言であり、梶山大臣のタイミングの悪さからの「失言」と言えます。

日本は世界から、梶山大臣の一言でバッシングされたと言っていいでしょう。

 

日本のエネルギー政策は、国際社会のスタンスに反したものと言うことが明確になりました。

その後の12月12日、「COP25」での小泉環境大臣の演説を受けて、国際NGOのグループは温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に再び日本を選びました。

小泉環境大臣は、

温室効果ガスの排出量を5年連続で減少させていることや国内の自治体が2050年までに排出量を実質ゼロにする目標を相次いで表明していることなどを紹介し、「結果をともなう脱炭素化に向けた行動を確実に進めている」と報告しました。

しかしながら国際社会は「石炭火力発電」を微塵たりとも認めない意思を示し、再度不名誉な「化石賞」に選ばれることになります。

「石炭火力発電」をやめなければ、国際社会は何をしても認めてくれないことが明確になりました。

2014年に定められた「エネルギー基本計画」でも、石炭は、「温室効果ガスの排出量が大きいという問題はあるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量あたりの単価も化石燃料の中で最も安い」ことから、重要な「ベースロード電源」(一定量の電力を安定的に低コストでつくることのできる方法)と評価されています。

日本は、ベースロード電源の考え方や、原子力や再生可能エネルギー等の「電源構成」を根本から見直す必要に迫られています。

記者会見での発言通り、古い石炭火力発電所による発電量を2030年度までに9割程度、およそ100基分を削減できれば、今後開催されるCOPの場において、不名誉な「化石賞」を巻逃れるかもしれません。