日本の多くの金融機関が保有するCLOに警鐘!日銀と金融庁は高みの見物か

独り言

2020年6月3日

信用力が低い海外の企業向けのローンを集めて作られたCLOと呼ばれる金融商品を日本の金融機関が多く保有していることから、リスク管理を徹底するよう求める報告を日銀と金融庁がまとめました。新型コロナウイルスによる経済の落ち込みが長引く場合の損失に注意が必要だと指摘しています。

CLOは、信用力が低い企業向けのローンを集めたためリスクがある分利回りが高い金融商品で、IMF=国際通貨基金などによりますと世界全体の残高の80兆円余りのうち日本の大手金融機関が13兆8000億円を保有しています。

日銀と金融庁の報告書は日本の金融機関が保有しているCLOは99%が最も格付けが高いAAAで、4分の3は途中で売却せず満期まで保有する計画となっているため、直ちに損失を抱えるリスクは高くないとしています。

しかし新型コロナウイルスによる経済の落ち込みが長引いたり、ことし3月にみられたような世界的な金融市場の混乱が再び起こった場合は注意が必要だとしています。特にCLOが格下げされた場合は価格が大きく下がり、会計のルール上、損失処理を迫られるおそれがあると指摘しています。

日銀と金融庁はCLOの元となっている企業向けローンが不良債権化していないか細かくチェックするなどリスク管理を徹底するよう促しています。

出典:NHK NEWSWEB 金融商品「CLO」のリスク管理徹底を 日銀と金融庁

 

リーマンショックの時に元凶となった「サブプライムローン」

サブプライムとは、顧客層を意味するものでプライム層(優良顧客)よりも下位の層を意味します。

サブプライムローンを簡単に言えば、アメリカの中低所得者を対象にした住宅ローンと言えます。

このローンを証券化することで金融商品として取引を可能とし、他の金融商品などと組み合わされ世界中に販売されました。

サブプライムローンとCLOの共通点は、ローンの寄せ集めの金融商品であり「格付け」されている点です。

リーマンショックの結果からわかる通り、サブプライムローンにおける「格付け」は信頼性のあるものではありませんでした。

記事では、日本の金融機関が保有しているCLOの99%が「AAA」となっています。

平時であれば、信頼性のある格付けなのかも知れませんが、世界中にコロナが蔓延する中、この格付けを信頼できるか大いに疑問です。

日本の企業においても、例えば売上が前年比で5~9割減といった企業が数多く存在します。

海外の企業においても同じことが言えるでしょう。

日銀と金融庁は、CLOの元となっている企業向けローンが不良債権化していないか細かくチェックするなどリスク管理を徹底するよう促しています。

日本の企業ですら状況の把握が難しい中、まして信用力の低いマイナーな海外企業の状況を細かくチェックせよとは、あたり前のことを他人事のように言っているように思えます。

2020年3月末時点で約7兆7000億円相当のCLOを保有する農林中央金庫の奥和登理事長は、5月27日の決算会見で「金融市場のボラティリティなどから今年度は非常に不確実性が高い」と述べる一方、「CLOと同じようなリターンを得られる投資はなかなかない

なぜ金融機関が、ハイリスク・ハイリターンの商品に手を出すのか?

背景には、国内の低金利環境と言えるでしょう。

その環境を生み出したのは、日銀と金融庁と言っても過言ではありません。

金融機関を低金利で追い込みリスクを負わせ、あたり前のことを他人事のように指示するだけでは、国民には「高みの見物」のように映ります。