2020年10月12日 NHK NEWSWEB
立憲民主党は格差の解消に向けて医療、介護や保育など生活の基盤となるサービスを誰でも公平に受けられる環境整備が不可欠だとして、これらを「ベーシックサービス」と位置づけ拡充策の検討を進めることにしています。
先月結党した立憲民主党は、党の綱領に掲げる格差の解消には、医療、介護や保育など生活の基盤となるサービスを誰でも公平に受けられる環境整備が不可欠だとしていて、枝野代表はこうした分野を「ベーシックサービス」と位置づけ、党の重要政策の1つにする考えを示しています。
この「ベーシックサービス」の充実を図るため、新たに設けた社会保障調査会で拡充策の検討を進めることにしています。
調査会ではサービスの量を拡大し質の面も向上させていくには、まずは人材の確保が最重要だとして、これらの分野で働く人たちの賃金などの待遇面の改善策を中心に議論することにしています。
調査会では近く初会合を開いて検討をスタートさせ、次の衆議院選挙の時期も見据えながら、具体策の取りまとめを急ぐことにしています。
時を同じくして、政府は「全世代型社会保障検討会議」を管内閣発足後、初となる会合を開催しようとしています。
政府は、全世代型社会保障検討会議において、年金や医療、介護の制度改革のほか、多様な働き方の実現に向けた方策などを議論してきましたが、既存制度ありきでの延命策ばかりを論じているよう思われます。
報道によると今回の会議での主な論点は、
・原則1割となっている75歳以上の人の病院などでの窓口負担を引き上げる具体的な制度設計。
・紹介状のない患者が大きな病院を受診した場合、一定額を診察料に上乗せする制度について
・不妊治療の保険適用や、保険適用が実現するまでの間の助成の拡充
となっています。
「75歳以上の高齢者」「紹介状のない患者」「不妊治療者」と対象が限定的で、とても全世代型とは言えない議論のように思えます。
通常の委員会等で十分議論できる内容かと思われます。
「全世代型社会保障検討会議」の発足時、
少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討を行うため、全世代型社会保障検討会議を開催します。
出典:首相官邸HP
当初、既存団体を議論の場から排除し、社会保障制度を抜本的に見直す意気込みが見られました。
今回の論点を見ても、不妊治療の保険適用以外は、既存制度の延命を目的にした国民負担を増やす議論と言えます。
対して立憲民主は
まずは人材の確保が最重要と認識し、これらの分野で働く人たちの賃金などの待遇面の改善策を中心に議論するとしています。
特に、介護士は今後高齢者が増加すると予見される中、慢性的な人手不足であり、比較対象にはならないかも知れませんが例えば、看護士との給与格差が余りにも大きすぎます。
コロナ禍においては、医師や看護師も不足しており、保育士に関しても現場での資格要件を緩和する等、国民から見ても人材不足は誰もが知る状況でしょう。
国民全体のサービス向上を議論する立憲民主の方が、まだ「全世代型」と言えるかも知れません。