都内の料亭などから悲鳴
2020年6月3日
菅官房長官は記者会見で、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しやすい「接待を伴う飲食店」に言及した際、「キャバレーなどの」と具体的に例示をしました。
「接待」という文言が、企業による取引先などの接待と誤解され、飲食店に客が訪れていない現状があったと説明しています。
この背景には、都内の料亭などから
との要望があったとの報道があります。
政治家にとって料亭は、言わば大切な密会場所。
料亭が悲鳴をあげれば、政治家が対処するのは必然かもしれません。
風営法上の接待とは?
接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」
風営法を取り締まる警察庁の通達に記載されているものです。
風営法上の接待行為の解釈は、とても難しいものです。
接待行為を具体的に示すと
①談笑・お酌など
②踊りなど
③歌唱など
④遊戯など
⑤その他
ここでは、①について深堀します。
談笑・お酌などとは
とされています。
「特定少数の客の近くにはべり」とは、従来は「客の隣に座る」と解釈されてきました。
「カウンター越し」なら接待行為にならない?
そこで登場したのが、いわゆる「ガールズバー」です。
最近の警察の解釈では、「ある程度会話をすればカウンター越しでも接待行為に該当する」と改められています。
「ある程度の会話とは?」
警察側に明確な基準となるものはなく、それだけ風営法における接待行為の判断が難しいことが伺えます。
なぜ、警察がこれほどまで「接待行為」に拘るのか?
簡単に言えば、接待が伴えば風営法が適用され、例えば深夜営業ができなくなります。
深夜酒類提供飲食店と風俗営業店
例えば、札幌すすきので「スナック」を営むとしましょう。
スナックには、ボックス席があり、客の隣に座り「談笑やお酌」をするのが一般的です。
この場合、風俗営業許可の申請が必要となり、スナックは「風俗営業店」と言えます。
すすきのの場合、風俗営業店は深夜1時までに閉店しなければなりません。
閉店とは「完全にお客がいない状態」との見解を警察は示しています。
風俗営業店の具体例としては、
「スナック」「パブ」「ラウンジ」「キャバクラ」「ホストクラブ」等、接待を伴うものです。
例えば、居酒屋やバー、ラーメン屋等でお酒を提供する場合が該当します。
風俗営業店の場合、申請し「許可」を必要としますが、深夜酒類提供飲食店は「届出」で済みます。
深夜酒類提供飲食店の届出をすれば、24時間酒類の提供が可能となります。
当然ながら、接待行為は24時間できません。
風俗営業店の申請と深夜酒類提供飲食店営業の届出は、同時(一緒)にはできません。
業種に応じて、どちらかを選ぶ必要性があります。
「接待」や「風俗」といった言葉の理解不足
接待と言えば、企業による取引先などの接待が頭に浮かぶ方もいるでしょう。
単に「バー」と言っても、マスターが一人のカウンターバーもあれば、ガールズバーのようにカウンター内に複数人いる場合もあります。
多くのガールズバーは、深夜酒類提供飲食店として営業しており、グレーな面はありますが、法律上は接待を伴う営業ではないと言えます。
風俗と言えば、ヘルスやソープ等の業種が頭に浮かぶかも知れません。
スナックやキャバクラ等、接待が伴えば「風俗営業店」として警察等に扱われます。
コロナの感染対策では、「接待を伴う飲食」という言葉が一人歩きしています。
また、東京都では「夜の街の感染」と表現を変えています。
夜の街の営業スタイルは様々です。
営業スタイルにあった感染防止のガイドラインをきめ細かに設定する必要があります。