2020年9月1日 西日本新聞
安倍晋三政権のど真ん中でにらみを利かせてきた「大番頭」が急転直下、首相後継レースの主役に躍り出た。自民党総裁選は8月31日、二階派、麻生派、細田派が相次いで菅義偉官房長官の支持を決め、情勢は大きく動いた。「ポスト安倍」のダークホースが瞬く間に本命へ。二階俊博幹事長による電光石火の仕掛けに岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長は不意を突かれ、早くも戦略の練り直しを迫られる。
安倍政権では「官邸主導」という言葉をよく耳にします。
「総理のご意向」を具現化するのが官邸官僚です。
秘書官や補佐官など、各省庁から集められた言わばエリート集団といえます。
「1億総活躍社会」「働き方改革」などは、官邸官僚の功績とも言えるでしょう。
省庁は常に官邸官僚の顔色を覗い、忖度や異論封じが横行する行きすぎた官邸主導は、安倍政権の大きな問題点の一つです。
コロナ禍では、大罪を犯しています。
アベノマスクや星野源さんとのコラボ動画等は、彼らの失策と言えます。
「暴走する官邸官僚の存在は最近、首相の悩みの種に変わっていた」
との報道も聞かれます。
「ポスト安倍」候補の中で、彼らと長く仕事をしてきたのは菅氏です。
もし、菅内閣が発足すれば、現体制が維持され官邸官僚が刷新されない可能性があります。
岸田氏や石破氏であれば、官邸主導による政策決定システムは過去のものとなるかもしれません。
良くも悪くも、安倍首相を演出したのは官邸官僚です。
ここにメスを入れなければ、政治は変わらないことでしょう。