70歳まで働く時代へ4月法施行!現役でも稼ぎにくい日本で高齢者が稼げるのか?

独り言

2021年3月14日 佐賀新聞

改正高年齢者雇用安定法が4月に施行され、日本は70歳まで働く社会へ大きく踏み出す。働きたい人の機会の確保を企業に促し、活躍の場を拡大。政府は公的年金制度に関しても受給を遅らせる形に変え、より長く働けるように転換を図る。

団塊世代の退職と少子高齢化に伴い、人手不足が深刻化。政府は元気な高齢者に、働き手とともに、社会保障制度の支え手の役割を期待する姿勢を鮮明にし、現役世代の負担の軽減を狙う。2020年の15歳以上就業者6676万人のうち、65歳以上は906万人を占めている。

高年齢者雇用安定法は1986年制定。(1)定年廃止(2)定年延長(3)継続雇用制度の導入―のいずれかにより、希望者全員を65歳まで雇うよう義務付けられている。4月から、70歳まで働けることが努力義務になり、政府は将来、さらに強く70歳雇用を求める見通しだ。

改正法は、企業が取り得る選択肢を増やす。65歳以上の雇用を巡り、従来の3方法に加え、フリーランスを希望する人への業務委託や、自社が関わる社会貢献事業への従事などを対象にした。どれを選べるようにするのかは労使間で協議する。業務委託や社会貢献を選ぶと、雇用関係がないため労働関係法令が適用されない。政府は高齢者から見て不当な条件にならないよう指針で定める。

年金に関しては、受け取り開始の選択肢を75歳まで広げる。遅らせると受給額が増える。働いて収入がある人の年金を減らす「在職老齢年金制度」も、働く意欲を損なうとの批判に対応し、対象者を減らす。いずれも22年4月に始まる。

政府は「人生100年時代」をスローガンに、高齢者の就労促進を図っています。

そもそも、人生100年時代なのでしょうか?

男性の平均寿命は81歳程で、人生100年時代とは到底言えない現状です。

2018年10月、厚生労働省は社会保険審議会の年金部会に対し、「厚生労働省推計による長生き見込み」というデータを提示しました。

現状65歳まで生きれば、男性4%、女性14%の確率で100歳に到達します。

40年後の推計では、男性6%、女性20%の確率で100歳に到達するものと推測しています。

40年後においても、65歳まで生きた男性のたった6%しか100歳に到達しないと厚生労働省がデータを提示しています。

これのどこが人生100年時代なのでしょうか?

 

現状、定年は65歳までですが、8割の企業が60歳で一度定年し、65歳まで再雇用するといった形態をとっています。

定年後、再雇用の際の給料は、現役時代の4~6割減が過半数を占めているとの日経ビジネスの調査結果があります。

60歳以降も現役時代と同程度額の給料を貰うことは希であり、年金は65歳から貰うのがスタンダードと言えるでしょう。

仮に70歳まで働くことができたとしても、給料が伴わなければ65歳から年金を貰いながら働くのがスタンダードとなるよう思われます。

年金に関しては、受け取り開始の選択肢を75歳まで広げるとありますが、選択するのはごく一部の方でしょう。

終身雇用が崩壊している中、企業に70歳までの雇用を課すのは、努力義務とは言え無謀なことです。

そもそも、現行の年金制度は崩壊していると言っていいでしょう。

厚生年金ですら「2000万円報告書問題」からもわかる通り、相当の自助努力が必要となります。

多くの国民が、現状の年金制度のままでは、生活が困難となることでしょう。

現行の年金制度を延命するのではなく、時代にマッチした新たな年金制度を構築すべきです。