「就職氷河期世代支援」ハローワーク専門窓口設置も利用なければ意味なし

独り言

2019年8月23日

いわゆる「就職氷河期」世代の支援を強化しようと、厚生労働省は来年度から全国60か所余りのハローワークに、就職から職場の定着までの支援を一貫して行う専門窓口を設置する方針を固めました。

「就職氷河期」世代はバブル崩壊後、新卒の就職が特に厳しかった時期に社会に出た人たちで、当時は就職が決まらないまま卒業を迎えた人が毎年10万人前後いました。

厚生労働省は希望どおりの就職ができず非正規労働を続けるなどして、今後の展望が描けない、正社員になることを諦めているといった人が多いとしています。

去年の時点で35歳から44歳の人のうち、働いていない「無業者」は40万人、正社員になりたいのに非正規雇用で働いている人は50万人いるとみられています。

こうした中、厚生労働省は来年度、全国63か所のハローワークに専門の支援窓口を設置する方針を固めました。

窓口では複数の担当者がチームを組み、職業訓練のあっせんや、就職できる可能性の高い求人の紹介、それに生活設計の相談などに当たります。

また、就職できた後は、長く働き続けられるよう受け入れた企業の支援も行い、就職から職場の定着までを一貫して支援します。

厚生労働省はこうした窓口の設置に必要な経費として、来年度の概算要求で13億円余りを計上することにしています。

出典:NHK NEWSWEB 「就職氷河期」世代 支援の専門窓口 全国に設置へ

安倍首相は、今年4月10日の「経済財政諮問会議」の場で、所謂「就職氷河期」にフリーターや無職、非正規社員として働く人を対象に、就職支援を強化するよう関係閣僚に指示しました。

今後、約3年間で集中的に支援策を実施するようですが、

具体策としては、

・専門ハローワーク設置
・就労一体となったリカレント教育「学び直し」強化
・氷河期世代を積極採用する企業への助成金支給要件緩和

等が挙げられています。

その第一歩である、全国63か所のハローワークに、専門支援窓口を設置する方針が固められました。

実際に設置されるのは来年度からで、安倍首相が指示してから約1年後の実施となります。

就職氷河期世代とは、一般に1993年~2004年頃に、高校や大学を卒業した人を指します。

この世代の無業者と非正規雇用に対する支援となります。

具体的な対象としては、

引きこもり、ニート、フリーランス、派遣社員等と言えます。

例えば、

引きこもりと派遣社員では、就労意欲に大きなレベル差を感じます。

<就労意欲:低>

果たして、35歳~44歳の引きこもりやニートの方が、専門支援窓口に足を運ぶのでしょうか?

引きこもりやニートの方を受入れる企業がどれだけあるのでしょうか?

就労意欲が低ければ、専門支援窓口を設置しても全く意味がありません。

足を運ぶ気になる広報活動など、就労意欲を刺激する対策が必要かと思われますが、実際問題それは難しいことでしょう。

個別にアプローチする必要性があるものと考えます。

<就労意欲:高>

非正規雇用の方は、何も就職氷河期に限ったことではありません。

就職氷河期以降も非正規雇用は増え続けています。

就労意欲が高い非正規雇用の方は、日頃から正社員への転職を意識していることでしょう。

それでも中々、自分にあった採用先がなく現状に留まっているものと思われます。

専門支援窓口とは、

条件のいい就労先を豊富に紹介してくれるのでしょうか?

確かに有効求人倍率は上昇していますが、人手不足は限られた業種です。

そんな限られた業種ばかりを紹介されても困りものです。

働く側からすれば、働きながらリカレント教育(学び直し)までして、他企業の正社員になるのは、とてもハードルが高く感じられます。

非正規雇用に関しては、何も就職氷河期に拘らず一律に対応すべき問題と思われます。

諸課題はありますが「同一労働同一賃金」で格差是正を図った方が効果的かもしれません。

来年度に設置されるハローワークの専門支援窓口、懸念を払拭する成果を期待します。