最大規模のクラスター「茨戸アカシアハイツ」
5月14日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が39県で解除されました。
同日、北海道札幌市で新たに6人の感染が確認されています。
感染者6人の内、4人はクラスターが発生している札幌市北区の「茨戸アカシアハイツ」の入所者です。
連日にわたり感染確認がされている「茨戸アカシアハイツ」の名称は、道民であれば多くの者が知るところです。
連日の報道に「クラスター対策はどうなっているの?」
多くの道民が疑問に思うところでした。
テレビ出演の秋元市長が語る現状
同日(5月14日)の夕方、札幌市の秋元市長がテレビのローカル番組に出演し、様々な地元の不安(医療・経済・教育)について、丁寧に説明をしていました。
なぜ札幌での感染が増え第2波が起こったか?
秋元市長の説明では、
3月中旬から欧米渡航暦のある人の感染者が発生し、3月下旬からは東京や大阪など感染拡大エリアからの人の移動が増加し、市中感染したのでは?と推測されています。
市中感染の増加に伴い、4月からは「医療機関」と「高齢者施設」でのクラスターが発生しています。
主なクラスターとして
・札幌呼吸器科病院
・国立がんセンター
・茨戸アカシアハイツ合計で170名の感染者を出しています(5/13現在)
茨戸アカシアハイツの現状について
茨戸アカシアハイツは感染者数81名、死亡者数10名と最大規模のクラスターとなっています。
何よりも気がかりなのが、
父親が入所する方が電話インタビューを受けていましたが、「死ぬのを待つだけだ」という父の言葉が心に響きます。
厚生労働省は、
老建入所者が感染した場合、重症化のリスクが高いとし入院する方針を示していますが、なぜ札幌は進まないのでしょう?
厚労省の方針どおりに進まなかった理由
秋元市長の説明を要約すると、
アカシアハイツが集団感染を起こした時期は、4月の中旬から下旬頃で、同時期に病院での院内感染が複数発生していました。
4月の下旬からゴールデンウィーク明けまでは、重症化した患者を受け入れる病床がほとんどありませんでした。
理由の一つは、受け入れの病床がなかった点が挙げられています。もう一つの理由が、医療と介護の両方のスタッフが必要な点で、この両方を受けれる病院がなかった点です。
介護の度合いは一人一人が異なり、入院の判断は医師が行い、受け入れ病床を調整しています。
今現在、陰性であっても陽性の可能性が高く、別の施設に移動するには感染リスクがあり受け入れ先がない状況です。
介護スタッフの方も感染しており、手薄な状況となっています。
医療スタッフは道外からの応援もあり、医療的なケアは十分受けられている(アビガン等も投与されている)一方、介護施設における介護士は全体的に少なく、別のところからの応援などが望めない状況となっています。
「これだけ毎日感染者が出ているとなると、我々が想像できない凄惨な状況になっているのでは?後日そういったことが明るみになることはないか?」
秋元市長は、国からの応援スタッフもおり、対策は万全との説明をしています。
茨戸アカシアハイツは、「陸のクルーズ船」とも言える状況です。
ハイツから救助したくても、「介護の壁」が立ち阻みます。
介護施設におけるクラスター対策の検討を
札幌市は第一波を乗り越え、その解放感から今で言う「新しい生活様式」が疎かだったのかもしれません。
緊急事態宣言の主たる目的は、医療崩壊を防ぐことにあり、その為の「時間稼ぎ」に過ぎません。
コロナの感染の波は、「ハンマー」と「ダンス」と呼ばれています。