八ツ場ダムに称賛の声も完成前の湛水試験中を考慮すれば不安残る

独り言

台風19号で「八ツ場ダム」がクローズアップ

2009年、民主党政権の発足時「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、八ツ場ダムは早々に工事の凍結が迫られました。

むだな公共工事を減らして社会保障や子育て支援に財源を回す

当時、八ツ場ダムは「むだな公共工事」の代表格でした。

民主党政権は3年程と短命ですが、2011年に工事凍結を解除したのも民主党です。

八ツ場ダムに関しての政策は、民主党の「一人相撲」と言えます。

八ツ場ダムは、今年6月にコンクリートの打設が完了したばかりです。

今年10月1日からダムの湛水試験を開始し、その直後に今回の台風19号に直面します。

10月12日~13日にかけ、ダムは一昼夜でほぼ満水状態になりました。

ダムの湛水試験とは、ダムが完成した後に行う検査で、実際に水を満水位まで貯めてから最低水位まで放流し、ダム本体やダム周辺の安全性を検証するものです。

湛水試験でダムに水を貯める方法は、降水を待つしかありません。

八ツ場ダムの完成は令和2年3月を予定しており、満水位までの貯水に3~4ヶ月の期間を予定していたことでしょう。

「湛水試験中」だから洪水被害を食い止められた?

何度も言いますが、湛水試験を10月1日から始めており、ダムに水が溜まっていない状況で台風19号に直面しています。

八ツ場ダムは多目的ダムです。

「新規都市用水の供給」、ダム下流に八ツ場発電所を新設し「水力発電」の実施も予定されています。

ダムは、それらの目的を果たす為に一定量の水を貯めておく必要があります。

台風後の八ツ場ダムの空撮映像を見ましたが、ダムの貯水状況は全く余裕のないものです。

ダムが本格稼働していれば台風前には水があり、緊急放流が必要だったものと専門家も指摘しています。

驕る自民に旧民主議員は過敏な反応

マスコミ報道では、

自民党が旧民主党政権が掲げたキャッチフレーズに引っかけ「”コンクリートから人へ”とのかけ声のもとで、紆余曲折を経てきた」(松山元科学技術担当大臣)等と野党を攻撃しています。

百歩譲って完成したダムならまだしも、試験中のダムであることを度外視しての発言は慎むべきです。

なぜなら、
来年八ツ場ダム完成後、今回の台風19号と同等又は劣る台風であれば「避難しない住民」がでるかもしれません。

もっと危機感をもった発言をして欲しいものです。

野党もしっかりと「湛水試験中」という事実を伝えるべきです。

ダムとしての機能を果たす本格稼働していれば、洪水災害を防げたかは未知な話です。

立憲民主党の福山哲郎幹事長は16日、

「台風対応に懸命に取り組まなければいけないのに、批判すること自体がナンセンスだ」

これでは反論になりません。

最後に

八ツ場ダムの建設に要する費用の概算額は5,320憶円を予定しています。

今回の台風19号により、これだけ費用を掛けたダムであっても、同クラスの台風に直撃されれば、緊急放流を余儀なくされ、逆に洪水被害に対して万全でないことが露呈したよう思われます。