国の生活保護費減額は違法?「憲法で保障される生存権を脅かす」との訴えを棄却!名古屋地裁

独り言

生活保護受給者が生活保護費の基準額引き下げの撤回を求めた裁判で、名古屋地方裁判所は訴えを退けました。

訴えを起こしたのは、愛知県内に住む生活保護を受け取る男女18人です。

訴状などによりますと、国は2013年からの3年間で生活保護基準を見直し、最低限の生活費にあたる生活扶助費およそ670億円を削減。

受給者らが、「憲法で保障されている生存権を脅かすもの」として、国などに対して撤回を求めていました。

25日、名古屋地裁で開かれた判決公判で角谷昌毅裁判長は「国の決定は当時の国民感情や国の財政事情を踏まえたものであり、判断が違法であるとは言えない」として、原告側の訴えを棄却しました。

出典:CBCテレビ

生活保護費は、生活扶助と住宅扶助で構成されています。

今回は、国が生活扶助費を減額したことで、生存権を脅かしたと訴えていますが、生保を受給していない国民から見れば、何を基準に生存権を脅かすと言っているのか理解できません。

生活保護費は地域により異なりますが、生活扶助及び住宅扶助をあわせて、概ね13万円前後の金額かと思われます。

生活保護費受給中は、以下の支払いが免除されます。

・所得税・住民税・固定資産税などの税金
・国民年金保険料
・国民健康保険料
・介護保険料
・雇用保険料
・医療費
・介護サービス利用料
・NHK受信料

自治体によっては、水道料金の基本料金や交通費までもが無料になる場合があります。

これらを踏まえると、保護の受給資格のない国民であれば、最低でも15万円~16万円稼がなければなりません。

令和元年度における東京都の最低賃金は1013円となり、都道府県で一番高い金額です。

最低額は790円で、全国加重平均額は901円です。

仮に900円としましょう。

1日8時間、20日働けば月額14万4000円となりますが、税金等が引かれれば11万円~12万円程度の手取り額となります。

まともに働いても生活保護水準に達しない国民が大勢いることでしょう。

働いても生活保護水準よりも低い生活を余儀なくされます。

だからと言って、生活保護レベルが高いとは思いません。

日本における給与水準が余りにも低すぎるのが問題です。

最近、ツイッターで「#給料安すぎ問題」というスレッドが話題となっています。

そこでも、生活保護と最低賃金で働くアルバイトの賃金比較をよく目にします。

日本国憲法第25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

とあります。

生活保護費を基準とすれば、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができない国民が大勢いることになります。

生活保護の受給者が、生存権を脅かすと言うのであれば、多くの働く国民が「生存権を脅かされている」と言えるでしょう。