トヨタ労組2020春闘もベアの要求額示さず!根拠たる指標失う他労組

独り言

2019.10.19

トヨタ自動車労働組合(約6万9千人)は19日、令和2年春闘に向け、愛知県豊田市で定期大会を開いた。令和元年春闘に続き、ベースアップ(ベア)の要求額を示さずに、賃上げ総額で要求する方針を決定した。各職場の意見を反映し、来年初めまでに要求内容を確定させる。

経営側は平成30年春闘で、ベアの額を示さず賃上げ総額のみを回答する異例の対応を取った。中小を含め他企業はトヨタを上限にベアを決めるケースが多く、トヨタがベアを明示すると大手と中小の格差が縮まりづらいとの考えからだ。労組も令和元年春闘の要求でベア分を提示しなかった。

出典:産経新聞 トヨタ労組、ベア要求額の提示見送りへ 令和2年春闘も

トヨタ労組は来年の2020春闘(令和2年春闘)の方針を示しました。

今春闘においてもトヨタ労組は、ベア(ベースアップ)の公表はせず、定期昇給分や手当等を含めた総額として12,000円を要求し、ベアではなく総額での交渉に移行しています。

先陣を切るトヨタ労組に、足並みを揃えるか注目されましたが、ホンダ、スバル、スズキ等の各労組はベア3,000円での交渉を選択しました。

日産やマツダは、表示はどちらも9,000円の要求でしたが、いずれも内訳として3,000円分がベア相当分となっています。

トヨタの経営側は、2018春闘からベア額を示す回答を控えています。

トヨタ労組とすれば、経営側に則した要求を出すことが余儀なくされています。

トヨタのベア額は、自動車業界に留まらず組合を有する他業種企業への影響もあり、一種の「指標」とも言えます。

一般に、組合が経営側にベアを要求する場合、そのベア金額の「根拠」が必要となります。

ベアの根拠となるのは、景気等の社会情勢や自社の業績等ありますが、根拠のあるベア金額を導き出すことは、とても難しいことです。

トヨタのベア金額は、他労組におけるベア額決定の「根拠」となる金額でもありました。

仮にトヨタがベア額を伏せても、要求総額よりベア額が推測されることでしょう。

トヨタの経営側が考えるように、ベア額を伏せることで大手と中小の格差是正に繋がるか疑問が残ります。