高年齢者雇用安定法の変更点(2025年4月~)
- 65歳までの雇用義務化
希望する従業員全員に、65歳までの雇用を確保することが企業に義務付けられます。 - 70歳までの雇用確保への努力義務
企業は、従業員が70歳以上働き続けられるよう、定年延長や再雇用などの措置を講じる努力義務があります。 - 高年齢雇用継続給付の縮小
2025年4月以降に60歳になる従業員の支給率は、15%から10%へ引き下げられます。
現状の把握(厚生労働省「令和5年賃金事情等総合調査」より)
継続雇用制度の導入状況 調査対象企業の95.5%が継続雇用制度を採用。そのほぼ全てで再雇用制度が導入されています。一方、勤務延長制度の採用率は非常に低く、全体の2%未満にとどまります。
■再雇用時の雇用形態
- 嘱託社員:54.1%
- 契約社員:29.1%
- 正社員:4.7%
- パート・アルバイト、子会社従業員:ともに4.1%
再雇用後は嘱託・契約社員が8割以上を占め、正社員としての再雇用は5%未満に留まっています。
■労働時間と賃金単価
- 所定労働時間:定年退職時と同じ時間で勤務する企業が77.1%。
- 基本給の時間単価:「50%未満」が18.8%存在。
退職時と同じ勤務時間で働くケースが多いものの、賃金単価が下がることが課題として指摘されるでしょう。
高年齢者雇用安定法の目的と今後の課題
高齢者が経済的自立を維持しつつ社会参加できる環境を整備することが目的です。
これにより、少子高齢化による労働力不足を補い、持続可能な社会の実現を目指しています。
今後の課題としては、再雇用時に「嘱託社員」や「契約社員」が主流で、正社員としての再雇用が少ない現状を改善し、多様な働き方を推進する必要があります。
又、基本給の時間単価が退職時よりも大幅に低下することが一般的であり、高齢者が現役時代と同水準の生活を維持できる仕組みが求められます。