厚生労働省は、2025年4月から「ねんきん定期便」の記載内容を見直し、厚生年金に加入する会社員向けの定期便において、事業主も加入者と同額の保険料を負担していることを明記する方針を決定しました。
これまでは、ねんきん定期便には被保険者(本人)が負担した保険料のみが記載されており、事業主負担分については明記されていませんでした。
この変更は、SNSなどで「事業主負担が記載されていないため、年金給付額が多く見える」といった批判が出たことを受けた対応とされています。
具体的には、厚生年金の保険料率は月収に対して18.3%であり、労使で折半して納めています。
例えば、月収65万円の上限区分に該当する人の場合、労使合計で月11.8万円(本人負担は月5.9万円)を負担しています。
この見直しの目的は、事業主が同額の保険料を負担している仕組みについて国民の理解を深めることとされています。
ただし、制度そのものが変わるわけではなく、記載内容の透明性を高めることが主眼です。(出典:日本経済新聞他)
X(旧ツイッター)上での反応
このニュースを受けX上では、
○会社負担分も含めると、払った金額は寿命が尽きても回収できないことがバレるから。
○「企業も負担している」と注記するだけで、保険料の累計は変えないらしい。事業主負担を足したら「払い損」がばれてしまうから。
○事業者負担分はそもそも厚生年金受給者の年金に使われていない。
といった事業主負担分への疑念の声が散見されます。
国民が疑念を持つ原因

国民は何を知りたいか?
それは、事業主負担分の行方です。
事業主負担分の具体的な使途や内訳については、公式な情報が十分に提供されていないため、国民がその詳細を理解するのは困難な状況です。
厚生年金の収入と支出については、財政検証や年金財政報告書などで概要が公開されていますが、これらの資料は専門的で分かりにくいものです。
例えば、収入は保険料(被保険者と事業主の負担分)や国庫負担から成り、支出は老齢年金、障害年金、遺族年金などの給付に充てられています。
ただ、事業主負担分が具体的にどの項目にどの程度使われているかについての詳細な内訳は、公式には明示されていないよう思われます。(日本年金機構や厚生労働省のHPでは見つけられませんでした)
透明性を高めるためには、より分かりやすい形での情報公開や、国民がアクセスしやすい資料の提供が求められるでしょう。
単に年金定期便に、事業主負担分を言葉で明記しても疑念は払拭されないことでしょう。