2023年11月、札幌市西区で不正改造された軽乗用車のタイヤが外れ、4歳の女の子に直撃する事故が発生しました。
この事故の3回目の裁判が2025年3月5日に行われ、検察は車の運転手に懲役3年、車の所有者に罰金20万円を求刑しました。
若本豊嗣被告(51才)は、2023年に車を不正に改造し、車両の点検を怠った結果、ナットの緩みに気付かず運転を続けたとして、道路運送車両法違反と過失運転致傷の罪に問われています。
この事故により、当時4歳の女の子が重傷を負い、いまだ意識不明の状態が続いています。
被害者家族の悲しみと経済的苦悩
事件から1年後の昨年11月、STV(札幌テレビ)は被害者の父親に独自インタビューしています。
父親は、「頸髄を損傷しているため、再生医療に期待をして探してみたが、効果的な治療法は見つからず、医師からは意識が戻ることはないと言われている」と悲痛の表情で語ります。
また、父親のノートには「約5億1600万」と赤ペンで記されており、その金額は保険や治療費、将来的な自宅での介護を含めた試算額でした。
途方に暮れる額に、精神的にも経済的にも被害者家族が追い詰められている状況が伺えました。
法廷でのやり取り
被害者参加制度により、2025年3月5日の裁判に出廷した女の子の父親は、若本被告に対して次のように問いかけました。
(女の子の父親)「どれだけの経済的な負担が生じるのか想像したことはあるか」
(若本被告)「いまの自分では払いきれない金額だと思います」
(若本被告)「なぜ点検しなかったのか、悔やんでいる。女の子に大変な思いをさせてしまい申し訳ない。仕事を探して賠償を一生していく」
このまま女の子の意識が戻らなければ、将来的な自宅での介護や治療費は5億円以上かかります。
市の養育手当があるものの、いまだに被告側の車の保険は適用されていません。
苦しい生活を続ける父親に対し、若本被告が涙を流す場面も見られました。(日テレNEWSより)
賠償問題と保険
自賠責保険は適用されるものの、後遺障害の等級に応じた賠償額(最大4000万円)では、将来的な自宅での介護や治療費は5億円超とされ、被害者家族は経済的にも追い詰められています。
検察は「任意保険に入っていないことなど、所有者として非難されるべき」として20万円の罰金刑を求めました。
ただ、不正改造車であれば、任意保険が適用されるとは思えません。
民事では5億円超の損害賠償か
裁判は2025年3月5日に結審し、判決は4月24日に言い渡される予定です。
判決は注目されますが、求刑を上回る判決は希でしょう。
父親にしてみれば、納得のいかない判決となることでしょう。
ただ、その背後には今回の裁判とは別に、5億円超の損害賠償問題が残されています。