国民に刷り込まれた老後資金2000万円
ネット上では、老後資金がいくらあれば安心できるのか?様々な金額が乱立しています。
多くの方が耳にした「年金2000万円問題」
年金2000万円問題では、老齢夫婦の平均的な年金等の収入に対し、平均的な支出の差額から毎月およそ5万円の赤字を埋めるため、生涯必要となる資金を2000万円と算定しています。
そもそも年金2000万円問題を提起したのは、国民に投資を促すために政府主導で有識者が示した金額(2000万円)であり、老後資金2000万円あれば安心という趣旨のものではありません。
2000万円という数字だけが独り歩きしているように思えます。
老後資金については過去記事で記載の通り、人によって条件が違うため、一概には語れません。
ただ、不安を解消するために言えることは、重ねて言いますが、老後に得る収入内で生活できれば、さほど老後資金を意識する必要はないでしょう。
年金2000万円のモデルケースの夫婦であれば、およそ5万円の毎月の赤字をなくすれば問題はほぼ解消されます。
ほぼ解消されると記したのは、生活する上で赤字がない前提で生活費以外の支出が2000万円で十分か?という点になります。
具体的に言えば、年間で50万円~60万円の余裕で、安心できるかどうかという点です。
家のリフォームや車の買い替え等、生活費以外の支出に対応できるかが問題です。
ただ、生活することだけを考えれば、生活費以外の2000万円は安心材料となることでしょう。
老後の赤字をなくする方法
赤字をなくする方法は大きく分けて3つあります。
1.支出以上に収入を得る。(働く)
2.支出を削減する。(生活のダウンサイジング)
3.資産運用等で資産を増やす。
政府がお勧めしているのが1と3です。
政府は、高齢者の一部に着目し、現役世代よりもお金を持っているので、積極的に使ってほしいとすら思っています。
少子高齢化で労働力が重要となる現局面、また支出削減は景気後退に繋がるので、2を政府はお勧めしません。
政府がお勧めする通り、老後も働くことで赤字は解消されますが、前提として健康であることと自身にあった仕事があることです。
新NISAのように、資産を増やす方策を政府は提供していますが、確実に資産が増える訳ではなく、リスクが伴います。
健康リスクや運用リスク等があっては、安心した老後プランとは言えないよう思えます。
赤字解消に最も確実性があるのが2です。
健康を害しても、働く気がなくても、貯蓄がなくても、誰もがトライできます。
不安解消といった観点では、物価上昇のリスク等はあるものの、個人に委ねられたリスクではなく、社会全体のリスクと言えます。
それを考えたら、震災等のリスクは老後に限らず今現在でもあります。
社会全体のリスクはある意味受け入れ、個人に委ねられるリスクを排除するよう検討すべきでしょう。
2の支出削減は、政府はお勧めしていませんが、多くのFPが推奨しています。
老後の支出を想定することが不安解消の第一歩
なぜ老後資金の不安は解消が困難なのでしょう。
簡単に言えば、老後の収入と支出の想定が難しいからです。(特に支出面)
現時点で、
月に(最低)いくらあれば生活できますか?
(年間いくらあれば生活できますか?)
この質問に回答できることが不安解消の第一歩です。
ただ、現役世代のサラリーマンであれば、個人事業主等に比べこの問題を回答するのは難しいことでしょう。
定期的に安定した収入を得ており、収入に合わせた生活が染みついています。
現在、自身は現役時代のおよそ3分の1の支出で暮らしていますが、現役時代には全く想定できませんでした。
収入と支出が想定できれば、老後資金の問題点が明らかになります。
老後資金の問題は、個々に状況が異なり収入と支出の想定が困難な点にあります。
ただ、収入と支出を把握することで、逆に不安を高める結果になるかもしれません。
悲観することはありません。
政府の言う通り、健康であれば多くの人が働くことで老後資金の問題は解消されることでしょう。
それでも解消されなければ、生活保護を視野に入れ、財産を清算する等の準備をすれば問題は解消されることと思われます。