5年に一度の年金制度改革を巡る議論で自民党の河野太郎議員が小手先ではない抜本改革を訴えています。
厚労省「いっしょに検証!公的年金」
「若い人って公的年金で損するって聞いたけど、本当?」これは年金制度への理解を広げようと、厚生労働省が作ったサイトの中で取り上げている若者からの疑問の声。この疑問への回答が今、物議を醸しているのです。
厚労省「いっしょに検証!公的年金」
「公的年金制度は誰にでも起こり得るリスクに社会全体で備え、皆さんに『安心』を提供するものです。そのため、経済的な損得という視点で見ることは、本来適切ではありません」「損得ではない」と言われましても…。
X(旧ツイッター)への投稿
「お金である以上、損得は誰しも考えるやろ」
「損得じゃないとか言ってる時点で最低限しかかけたくないね」と、まあ払う側からすれば“損得”で考えるのが人情ってもの…。
この年金制度を巡って自民党では今、5年に一度の改革の議論が本格的にスタートしています。
現在の制度は現役世代皆が入る基礎年金をベースに、サラリーマン世帯などが加入する厚生年金の2階建て方式。
改革案としては、厚生年金の積立金を利用して基礎年金の底上げを図る案やパートなど短時間労働者も新たに厚生年金に加入させる案などが検討されています。
「安心」の意味とは?公的年金制度が抱える課題
厚生労働省が運営する「いっしょに検証!公的年金」では、次のような主張がされています。
しかし、この「皆さんに安心を提供する」という表現は、多くの国民にとって腑に落ちない部分があるのではないでしょうか。
なぜ「安心」が響かないのか?
公的年金は、老後の生活を支えるための仕組みとして位置づけられているべきです。しかし、現行の年金制度に対する信頼が揺らぐ背景には、以下のようなポイントがあります。
「100年安心」の認識のズレ
現行制度は2004年に大きく改正され、政府は「100年安心」を謳いました。
しかし、2019年に発生した「年金2000万円問題」によって、「100年安心」とは年金制度の持続性を指しており、老後の生活を年金だけで支えることではないと多くの国民が認識しました。
国民の自助努力への負担増
現在では、年金だけでは老後の生活を支えることが難しいとされ、自助努力が求められる状況です。
この事実が、多くの人に老後の生活への不安を与えています。
厚労省の表現の矛盾
厚労省が「経済的な損得という視点で見るのは適切でない」と述べる一方で、「安心を提供する」と主張すること自体が、受け手にとって整合性を欠くように映る可能性があります。
公的年金制度に必要な透明性と信頼性
現行の公的年金制度は長期的な安心を提供することを目的としていますが、その透明性と信頼性に関して改善の余地がある点が指摘されています。
ひとつの問題として、年金のモデルケースが主に「夫と専業主婦世帯」に基づいていることが挙げられます。
しかし、現在の社会においては単身世帯や共働き世帯の割合が増加しており、このモデルケースが実際の家族形態を十分に反映しているとは言えません。
この乖離が、国民に年金制度の理解不足や不信感を招いている一因と考えられます。
例えば、単身世帯や共働き世帯などの多様なケースを示し、それぞれの状況に応じた受給額や将来見通しを具体的に提示することで、より分かりやすく制度を説明することが求められます。
さらに、年金定期便の内容に関しても課題があります。
現在、定期便では個人が納めた保険料や見込み受給額に関する情報が記載されていますが、事業主負担分の行方についての説明は明確ではありません。
この事業主負担分は、年金制度全体を支える重要な財源であるにもかかわらず、その具体的な使用用途や運用状況が透明性を欠いているとの批判があります。
国民に対して、事業主負担分がどのように運用され、制度維持にどのように貢献しているのかを詳細に示すことが重要です。
公的年金制度が真に国民の信頼を得るためには、以上のような透明性を高める取り組みが不可欠です。
制度の持続可能性だけでなく、個人の生活に直結する情報を分かりやすく提示し、多様な国民のニーズに応える仕組みを構築することで、年金制度への信頼性をより強固なものとすることが期待されます。