2019年11月11日
国の事業にむだがないか、有識者などが検証する政府の「秋のレビュー」が始まり、社会人の学び直しを推進する文部科学省の支援事業について、大学本来の役割であり、国費をさらに投入する必要があるか疑問だとして抜本的な見直しを求める意見が出されました。
政府の行政改革推進会議は各府省庁の事業にむだがないか、有識者を交えて公開の場で検証する「秋のレビュー」を毎年行っていて、初日の11日は文部科学省や経済産業省など6つの府省の20事業を検証しました。
このうち、社会人が大学などで再び学習する「リカレント教育」の推進に向けて、大学や専門学校に補助金を支給する事業など、文部科学省の6つの事業について、有識者は「リカレント教育は、大学の本来的な役割であり、国費を投入する必要があるか疑問だ」とか、「地方のニーズを把握しないまま、地方大学などに補助金を投入しようとしている」などと指摘し、事業の抜本的な見直しを求めました。
また、情報通信分野のスタートアップ企業などを支援する、総務省の事業については「経済産業省の事業と重複が見られ、新たな事業として立ち上げる根拠は乏しい」などとして、見直すよう指摘しました。
ことしの「秋のレビュー」は今月17日まで、東京都と広島県で行われ、合わせて9つの府省の41事業を対象に検証が行われます。
出典:NHK NEWSWEB 社会人の学び直しへの国費支援「必要か疑問」 政府のレビュー
社会人が大学などで再び学習するリカレント教育。
リカレント教育とは、
「学校教育」を、人々の生涯にわたって、分散させようとする理念であり、その本来の意味は、「職業上必要な知識・技術」を修得するために、フルタイムの就学と、フルタイムの就職を繰り返すことである。
(日本では、長期雇用の慣行から、本来の意味での「リカレント教育」が行われることはまれ)我が国では、一般的に、「リカレント教育」を諸外国より広くとらえ、
・働きながら学ぶ場合
・心の豊かさや生きがいのために学ぶ場合
・学校以外の場で学ぶ場合もこれに含めている。(この意味では成人の学習活動の全体に近い)
なお、「リフレッシュ教育」は、「リカレント教育」のうち、
1) 職業人を対象とした、
2) 職業志向の教育で、
3) 高等教育機関で実施されるものであり、むしろ諸外国での「リカレント教育」に近い概念である。
出典:文部科学省HPより
日本における「リカレント教育」とは、実に幅広い意味を持っていることが分ります。
有識者は、リカレント教育の名の下、大学や専門学校等に補助金を支給する必要性に疑問を持っています。
なぜリカレント教育に、国から補助金を出すのか、明確な理由、社会的ニーズや具体性に欠けていることと思われます。
リカレント教育は、厚生労働省でも人材開発の観点から推奨され補助金が出されています。
補助金が出されるのは、条件はありますが「学ぶ側の社会人」です。
『誰にとっても「いつでも学び直し・やり直しが出来る社会」を作るため、幾つになっても、誰でも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する』ために『人生100年時代を見据え、その鍵であるリカレント教育を抜本的に拡充』
社会的な背景としては、終身雇用が一般的でなくなり、転職や定年退職後の就労等、働き方が多様化している現状があります。
リストラなど、何らかの理由で職を失った者に対し、新たな知識やスキルを習得し、再就職を支援するといった明確な目的が存在します。
今回、有識者は文部科学省のリカレント教育の補助金事業に対し、抜本的な見直しを求めました。
国民は、リカレント教育において、国が高等教育機関に補助金を出す理由が全く理解できません。
広義の意味を持つ「リカレント教育」という言葉が使われ、曖昧な状況で補助金が出されようとしているようにも思えます。
「国の無駄遣い」国民は許しません・・・・