【年金財政検証】所得代替率50%は生活保護レベル!50%維持で安心してはいけない

年金問題

5年に1度の年金における財政検証は今回で3回目になります。

今から15年前の2004年、時の小泉内閣でマクロ経済スライドの仕組みを導入し年金改革が行われました。

「100年安心」と言われた年金改革です。

経済変動や平均余命の伸び、人口変動に応じ、年金額の改定率を自動的に設定し、給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入し、年金給付をゆるやかに削減し、保険料上限による収入の範囲で所得代替率を50%以上を確保する制度設計です。

金融庁の所謂「2000万円報告書」が出された時、「100年安心」とは、制度自体の存続が100年安心とうもので、国民が安心して年金生活を送れるものではないことを認識させられました。

「所得代替率50%以上」の確保は、100年安心と言われた年金制度で、国民と約束されているものです。

「所得代替率」とは、現役世代の平均年収に対しての年金額の割合です。

現状で話をすると、

現役世代の収入が35万7000円にたいして、老齢夫婦2人のモデル世帯の年金額は22万円で、所得代替率は61.6%となります。

現在価値で所得代替率50%とは、17万8千円と言うことになります。

 

生活保護費は、地域により異なりますが札幌市の場合、

高齢2人モデルケース(夫72歳、妻68歳)

夏場 154,240円
冬場 172,040円

出典:札幌市HP 世帯ごとの生活保護費のモデルケース

額面では、生活保護費を上回っています。

生活保護の場合、

住民税、固定資産税などの税金、公的保険料、医療費、NHK受信料等が支払免除(無料)になります。

所得代替率50%とは、生活保護世帯レベルの生活を下回ることでしょう。

これは老齢夫婦の「モデル世帯」であり、現状において年金受給額が22万円の方の話です。

年金におけるモデル世帯とは、
40年間サラリーマンとして働いた夫(厚生年金)と専業主婦(国民年金)の組合せが想定されています。

このようなモデルは今では希かも知れません。

モデルケースの前提になるのが、40年間勤めた夫の厚生年金がベースにあります。

今では恵まれた環境と言えます。

そのモデルケースで、このあり様です。

 

今回の財政検証で、政府は経済成長率が0.9%~-0.5%までの6つのケースを試算しています。

経済成長率(実質)0.4%より上であれば、所得代替率50%をクリアーでき、0.2%であれば50%をクリアーできないことを示しました。

これでは、100年安心な制度とは言えません。

仮に所得代替率50%を維持しても、モデルケースですら生活保護レベルを下回るのです。

 

現在価値で所得代替率50%で、金融庁の所謂「年金2,000万円報告書」と同様の方法で老後資金を算定すると、

平均的な支出 26万円/月
年金額(所得代替率50%) 17万8千円/月
不足分 8万2千円/月
期間 65歳~95歳までの30年間8万2千円×12ヵ月×30年間 = 2,952万円

あくまでも、現行水準の話ですが約3,000万円の自助努力が必要と言えます。

 

政府は、所得代替率50%を目標にしていますが、仮に達成しても生活保護者が続出することでしょう。

年金を出すか?

生活保護費を出すか?

所得代替率は50%目標ではなく、最低でも現行水準を維持するべきと思われます。