2019.8.23
政府の郵政民営化委員会の岩田一政委員長は23日に開いた会合後の記者会見で、かんぽ生命保険の不適切販売問題について「現場からトップまで(情報が)伝わる仕組みが機能していないことが大きな問題だ」と述べ、日本郵政グループに企業統治体制の強化を求めた。
岩田氏は7月下旬、日本郵政がかんぽ生命株を売り出した4月時点で、かんぽ生命の経営陣が不正を把握していたと問題視した。これについて、かんぽ生命は「売り出し時点において、契約乗り換えについては、法令違反に該当するものが極めて僅少で、重大性の認識はなかった」と主張。岩田氏は「一定の理解をした」と応じ、態度を軟化させた。
出典:産経新聞 郵政民営化委員会委員長、日本郵政グループの企業統治強化求める
企業において法令違反は、1件もあってはならないことです。
報道によると法令違反は、
28年度に15件
29年度に20件
30年度に22件
金融庁に届け出た数字です。
4年間で保険業法などの法令違反が73件確認されています。
西日本新聞の報道(2019.8.5)では、
顧客から苦情を受け、保険料を全額返還したのは17年4月~19年1月に1097件。
日本郵便の社員は「返還に応じるのは保険業法違反が疑われる悪質なケースだ」と指摘する。
ただし、実際に金融庁に同法違反として届け出たのは毎年20件前後にとどまっていた。
法令違反の届出件数に何か違和感を感じませんか?
なぜ20件前後の数値にとどまっているのでしょう?
同記事はつづきます。
金融庁届け出事案が発生すると、かんぽ生命から日本郵便に支払われる販売手数料が件数に応じて億単位で減額される取り決めがあるといい、この社員は「かんぽ生命も届け出事案は増やしたくない。届け出ずに済むよう『違法ではなかった』と処理されたケースがある」と証言する。
経営陣であれば、20件前後の法令違反の数値を見ればピンとくることでしょう。
顧客数から見ても、年間数件のバラツキに違和感があります。
かんぽ生命株を売り出す4月時点で、22件の法令違反があることを経営陣は知っていました。
「法令違反に該当するものが極めて僅少で、重大性の認識はなかった」
仮に22件の法律違反だとして、それが極めて僅少なのでしょうか?
民間企業で法令違反が1件でも発覚すれば大問題です。
経営陣の法令違反に対する認識は間違っています。
そのことを堂々と主張し、不正を把握できなかった理由にしているのが許せません。
確かに、郵政グループは従業員約23万人の巨大組織です。
22件ぐらいあっても当然かのような言動が、現場を軽視している証だと思われます。
昨年4月、NHKクローズアップ現代で「郵便局が保険を“押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~」が放送されました。
公共放送での特番です。
NHKは番組に届いた声を直接、郵便局の幹部にぶつけるため、グループの本社を訪れています。
経営側である日本郵便の佐野公紀常務執行役員が、現場の告白をまとめたVTRを見ています。
「信頼を裏切るような行為が、少ない数、起こっている。会社として非常に深刻。郵便局に対しての信頼を失ってはいけない、改めないといけない。」
番組で佐野常務が述べた言葉です。
ここでも「少ない数」と表現していますが、この時点ではしかたのないことかもしれません。
企業の悪事が公共放送で報道され、経営陣はこれでも不正を把握できなかったのでしょうか?
番組を見れば、法令違反が20件程度では済まないことが容易に判断できます。
クローズアップ現代が放送されたのは、かんぽ生命株が売られる約1年前です。
この時に、きちんと調査していれば株は売られなかったかもしれません。
現時点で、一般投資家は3割以上の損失を被っています。
新たに、アフラック生命の委託を受けて販売した「がん保険」についても、
日本郵便 約10万4千件
不利益販売が8月23日に判明しています。
これだけでも大問題ですが、何か「おまけ」程度に感じさせられます。
経営陣が退陣しても問題は解決しないのかもしれません。
ただ、ここまで事態を悪化させた経営陣に責任はないのでしょうか?
3社長は口々に「職務を全うしたい」と言っています。
今後の経営については後任に委ね、社長の立場ではなく専属で事態を収拾する立場となって職務を全うして欲しいものです。