2019年11月23日
来年度の税制改正で焦点の一つとなっている、未婚のひとり親に対する所得税の軽減措置について、政府・与党は、子どもの貧困対策の観点から、児童扶養手当を受けている親を対象に軽減措置を講じる方向で調整に入りました。
来年度の税制改正に向けて公明党は、未婚のひとり親にも、配偶者と死別したり離婚したりしたひとり親と同様に所得税を軽減する措置を適用するよう求めています。
これについて政府・与党は「子どもの貧困対策の観点から必要だ」として、児童扶養手当を受けている未婚のひとり親を対象に、同額の軽減措置を講じる方向で調整に入りました。
一方で自民党は、未婚のひとり親に児童扶養手当を年1万7500円上乗せしている臨時の措置は継続しないよう主張しています。
また、配偶者と死別や離婚したひとり親に適用される「寡婦控除」について、現在、男性のみ所得制限があり、「不平等だ」という批判があることを踏まえ、女性にも同じ所得制限を設けることを検討しています。
未婚のひとり親に対する軽減措置をめぐっては、自民党内に「家族の在り方に関わる」などとして慎重な意見もあり、今後、政府・与党内で調整が本格化する見通しです。
出典:NHK NEWSWEB 未婚ひとり親の所得税軽減「児童扶養手当受給者対象」で調整
税法上の寡婦(寡夫)とは、結婚が前提にあり、死別や離婚により独り身になった方を言います。
来年度の税制改正では、「未婚のひとり親」に対しても所得税を軽減させる措置を検討しようとしています。
現行の「寡婦(寡夫)控除」は、所得控除27万円です。
「生計を共にする子」「所得500万円以下」の条件が加われば、「特定寡婦」とされ所得控除35万円が受けられます。
自民党は、未婚のひとり親に児童扶養手当を年1万7500円上乗せしている臨時の措置は継続しないよう主張しています。
確かに、「離婚のひとり親」と「未婚のひとり親」で差が出てはいけません。
「政府・与党は、子どもの貧困対策の観点から」という文言があります。
単に現行制度に「未婚のひとり親」を組み入れるだけでは、「子どもの貧困対策」にはならないものと思われます。
「子どもの貧困対策」の観点から、どんな方策が出されるか期待されるところです。
もう一点が、男女平等の観点での問題です。
子供がいて離婚した場合、
更に、「所得500万円以下」であれば、特定寡婦控除35万円を受けることができます。
この問題も不平等感が否めません。
「寡夫控除」は昭和56年(1981年)に創設されており、当時と今とでは時代背景が大きく異なります。(ちなみに「寡婦控除」は昭和26年(1951年)に創設)
やはり時代にあった税制に変えるべきでしょう。