政府は、雇用調整助成金の特例措置で、事業主に従業員の雇用維持を求めています。
平時における、雇用調整助成金とは、
景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。
今は平時ではなく「緊急時」であり、特措法に基づき「休業要請」したのは政府です。
何よりも「申請方法」が難しすぎます
厚生労働省のホームページでは、具体的な申請手続きについては、「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月24日現在」をご覧くださいとあります。
簡易版と言いながらも、表紙を合わせ24ページにも及びます。
ガイドブックの2頁目に
「計画届の提出に必要な書類」(4書類)
「支給申請に必要な書類」(6書類)
が記載され、最後の行には、
「このほか、審査に必要な書類の提出をお願いする場合があります」と併記されています。
平時ならともかく、緊急時に及んでこの煩雑な手続きは、中小企業事業主の目線での対応とは言えません。
ゴールデンウィーク期間中(5月2日(土)~6日(水・祝))も、全国のハローワークで、雇用調整助成金の相談・申請を受け付けるとともに、都道府県労働局の助成金センター等で雇用調整助成金の電話相談を受け付けます。
これで一体、どれだけの対応キャパがあるのでしょうか?
2020年5月2日
従業員の雇用を維持する企業に支給される「雇用調整助成金」について、日本商工会議所は、円滑に支給できるよう窓口の人員を拡充することなどを盛り込んだ緊急要望を政府に提出しました。
日本商工会議所は、従業員の雇用を維持する企業に対して休業手当などの一部を助成する雇用調整助成金について、制度や運用面での改善の要望が相次いで寄せられていることから緊急要望をまとめ政府に提出しました。
それによりますと、各地の窓口が混雑していて申請や相談ができないという声が多いとして、窓口の人員の拡充や手続きのオンライン化を早期に進めるよう求めています。
また、雇用調整助成金は企業が従業員に休業手当を支払ったあとに支給される「後払い」の制度ですが、事業の継続には迅速な支給が必要だとして「前払い」にするよう求めています。
さらに、1人1日当たり8330円としている上限額を引き上げるべきだとしています。
日本商工会議所は「新型コロナウイルスの感染拡大で先が見えない中、多くの中小企業は事業の存続と雇用の維持に懸命に取り組んでおり、政府には大胆な措置を講じてもらいたい」としています。
出典:NHK NEWSWEB 日商 雇用調整助成金の円滑支給など制度改善を 新型コロナ
相談・申請を「する側」も、「される側」も困っています。
中小企業は資金面において「まったのきかない」状況にあり、一刻を争う問題です。
そもそも、「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)」を見れば、現場が混乱するのは誰が見ても明らかでしょう。
政府は、何かある度に「国民に寄り添った対応」と言葉では述べますが、その対応は「他人事」のように思えます。