2019年6月30日
パワハラ相談が過去最多に
職場のいじめや嫌がらせなど、いわゆる「パワーハラスメント」の相談が昨年度、全国の労働局に8万2000件あまり寄せられ、過去最多となったことがわかりました。
厚生労働省によりますと、平成30年度、全国の労働局が開いた「総合労働相談」に寄せられた労使間のトラブルの相談は26万6535件あり、このうち、職場でのいじめや嫌がらせなど、いわゆる「パワハラ」の相談が8万2797件にのぼりました。
出典:NHK NEWSWEB パワハラ相談が過去最多に
全国の労働局で開設された「総合労働相談」
様々な相談がある中、約3割がパワハラに関するものと言えます。
パワハラに関しては今年5月、企業にパワハラ防止策を義務づける法案が可決し、早ければ来年4月にも施行される見通しです。
これに伴い、パワハラの定義が示されました。
企業で働くならパワハラの定義をしっかり理解しましょう!
厚生労働省によると、以下の様に定義されています。
職場のパワーハラスメントとは、
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
と定義をしました。
この定義においては、
- 上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
- 業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること
を明確にしています。
出典:厚生労働省HP 職場のパワーハラスメントについて
定義の中の「職場内の優位性」と「業務の適正な範囲」のキーワードに関しては、それぞれ補足文が記載されています。
「職場内の優位性」については、部下から上司への逆パワハラや同格の社員同士でも先輩・後輩等によるパワハラも含まれることを意味しています。
「業務の適正な範囲」を超えての解釈は、難しいものと考えられます。
特に「指導」と「パワハラ」の線引きは難しい
業務上必要な指導であっても、労働者がパワハラと感じたらパワハラになることでしょう。
逆に、指導が労働者の業務上の意に反する場合、パワハラにならない点も明確にすべきかもしれません。
労使の業務上における意見の対立をパワハラと訴えられても困りものです。
定義に関しては、一字一句議論されていることでしょう。
あとは多くの具体例を示すことで、理解を促すことが必要と思われます。
パワハラの防止を企業に義務づける「改正労働施策総合推進法」では、罰則規定は見送られています。
今回は、パワハラの定義を明確にし、企業に相談窓口の設置など防止措置を義務づけることに留まっています。
パワハラは最悪、被害者を自殺や過労死にまで追いつめることになります。
また最悪のケースを逃れたとしても、精神的な病や退社等で被害者の人生を大きく変えてしまいます。
厳格な罰則規定が望まれます。
罰則規定がない以上、パワハラの根絶にはまだまだ時間がかかりそうです。