「家賃支払いモラトリアム法」とは?有志団体「外食産業の声」が法策定を国に求める!

独り言

モラトリアムとは

「遅延」や「猶予」と言った意味合いを持ち、金融用語としては「支払い猶予」を意味します。

2020年4月21日

新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、外食産業の経営者らがつくる有志団体「外食産業の声」が、家賃の支払いの減免や猶予が可能な「家賃支払いモラトリアム法」の策定を国に求めました。
この日、東京都内で初会合が開かれ、Web会議ツール「Zoom」を活用し、北海道から沖縄までの全国の経営者がオンラインで参加しました。

「外食産業の声」は、

「家賃支払いモラトリアム法」として、以下の三点を柱に要請しています。

①不動産オーナーとテナントとの話し合いに応じることを義務化

②日本全体が厳しい状況なので痛みを分かち合うという精神でまずは家賃の減免交渉に応じることを義務化

③不動産オーナーが銀行借入の問題などで減免も猶予も困難な場合は、テナントと不動産オーナーの合同で政府系金融機関に家賃の立替払いを申請。手続きを終了後、速やかに金融機関が不動産オーナーに直接家賃を支払い、その返済について基本的に1年後に開始。金融機関はテナントに対して求償権を持つが、リスクなどが必要な場合は、引き続き、オーナーが参加しての話し合いを義務化

飲食店の売り上げに対するコストは、「材料費」「人件費」「家賃」の大きく3つに分けられます。

「材料費」は、現在休業中の店舗であれば、ほぼ掛からないと言っていいでしょう。

「人件費」は、雇用調整助成金を上手く活用できれば何とかなるかもしれません。

雇用調整助成金は、給付までのタイムラグを店側で負担しなければなりません。

言わば、店の体力勝負となります。

雇用調整助成金は、手続きがとても煩雑で、今の運用方法のままでは申請に多大な時間を要します。

手元に助成金が来るのは、一体「いつ」になるのか?目途の立たないのが現状です。

「家賃」は、売上の15%~20%を占めるテナントが多いと言われ、細かな業種や事業規模により異なりますが、当然ながら固定費として毎月掛かります。

売上が減った中小企業に最大200万円給付する持続化給付金。

ある程度の事業規模となれば、1ヶ月の家賃にも及ばない額です。

政府は、事業継続のため無利子・無担保の融資を勧めています。

飲食店等であれば、その融資の多くが「家賃」へと消えるでしょう。

今後の先行きが不透明な中、借金だけが圧し掛かる経営者の心情は図り知れません。

「外食産業の声」が要請する「家賃支払いモラトリアム法」は、「話し合い」や「交渉」の義務化に留まっており切実なる訴えです。

現在の政府の支援策は、家賃の減免に対して「法人税・地方税社会保険料の納付猶予」「固定資産税、都市計画税の減免」「免除による損害額の損金算入」が適用されます。

ただ、家賃に限らず「減収」した際に受けられる制度で、テナントや不動産オーナーへの支援策ではありません。

休業中の賃料の支払いを巡っては、大家と店子(テナント等)で厳しい交渉が始まっていると報道されています。

与野党で家賃補助や猶予法案が検討されていますが、現行法でも家賃減額などの一定の根拠になりうるとの見解を示す専門家も多くいます。

ただ減額幅などに相場観はなく、このままでは紛争を招くとも指摘されています。

緊急事態宣言を延長するのであれば、この一連の「家賃問題」は、最優先で取り組むべき課題と思われます。