厚労省の正規職員の中途採用倍率は190倍!応募者にとっては就職氷河期の再来か

独り言

2020年1月15日

いわゆる「就職氷河期世代」を対象に厚生労働省が正規職員の中途採用を募集したところ、10人の枠に2000人近い応募が寄せられました。

「就職氷河期世代」は、バブル崩壊後の就職が特に厳しかった時期に社会に出た人たちで、政府は、この世代の正規雇用を増やす取り組みを進めています。

この一環で厚生労働省が先月末に10人の中途採用を募集したところ、応募の締め切りの今月10日までに1934人の応募が寄せられたということです。

競争倍率はおよそ190倍に上る計算で、採用されれば、ことし5月から厚生労働省の本省で正規の職員として、政策の企画や立案に関する業務に携わることになります。

就職氷河期世代をめぐっては、各地の自治体でも正規職員として採用する動きが広がっていますが、非正規での就労を余儀なくされている人は50万人に上ると言われています。

厚生労働省は「意欲や能力を生かして活躍してもらえるよう、採用選考を進めるとともに、民間企業への就労支援にも力を入れていきたい」としています。

内閣府に685人の応募
いわゆる就職氷河期世代の支援の一環として、内閣府は、この世代の35歳から49歳を対象に、先月から今月にかけて職員の中途採用の募集を行いました。

その結果、係長級と係員級で、それぞれ「若干名」としている採用予定に対し、15日までに、合わせて685人の応募があったということです。

内閣府は今後、書類選考や面接試験を行い、来月下旬に内定者を決める予定です。

出典:NHK NEWSWEB 就職氷河期世代採用募集 10人の枠に2000人近く応募 厚労省

 

昨年11月26日の新会議の場で、安倍総理大臣が「国家公務員の中途採用を今年度から具体的に取り組んでいく」と述べ、その先陣をきり厚生労働省が中途採用募集をした結果が今回の報道です。

10名の募集に1934人の応募、競争倍率はおよそ190倍です。

中途採用ではなく、通常での国家公務員試験の平均倍率は、およそ5倍(平成30年度)です。

人事院「平成30年度国家公務員採用試験実施状況」より

○院卒者・大卒程度全体では、申込者 84,952 / 最終合格者 15,094 = 倍率 5.6

○高卒程度全体では、申込者 41,727 / 最終合格者 7,857 = 倍率 5.3

国家公務員採用試験は、20種類以上の試験があり、平成30年度において最も倍率が高かった試験は、国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))の25.1倍です。

中途採用倍率190倍は、就職氷河期以上に厳しいのでは?

応募者の身になれば、就職氷河期の再来のよう思えます。

就職氷河期世代をめぐっては、各地の自治体でも正規職員として採用する動きが広がっていますが、非正規での就労を余儀なくされている人は50万人に上ると言われています。

政府がまず取組むべきは、この50万人の非正規公務員の処遇改善かと思われます。

非正規社員の給与は正規職員の約3分の1程度と言われ、同一労働同一賃金の観点からも格差是正が求められます。

これ程大きな問題を抱えながら、一握りの者を救済する「国家公務員の中途採用」は政府のパフォーマンスにしか映りません。

あくまで政策の一環としての「国家公務員の中途採用」は理解できますが、その背景にある非正規公務員の問題をしっかり取り組んで欲しいものです。