幼少期の頃、母が定期預金のことを話していた記憶があります。
「銀行に10年お金を預ければ倍になるんだよ!あなたも貯金しなさい」
と言われ、お年玉を貯金した記憶が蘇ります。
低金利が長期化している現代の日本では、金利や利子についての関心が薄れつつあります。
しかし、今後において金利は上昇傾向にあることでしょう。
今回は、「72の法則」をはじめ、過去の高金利時代、利子に掛かる税金について話します。
72の法則とは
「72の法則」とは、資産が倍になるまでにかかる年数を簡単に計算できる便利な法則です。
例えば、金利が6%であれば「72 ÷ 6 = 12」となり、12年で資産が倍になることを示します。
しかし、現在のような低金利ではどうでしょうか?
仮に金利が0.1%だとすると、「72 ÷ 0.1 = 720」となり、資産が倍になるには720年もかかる計算になります。
この数字が、現代の低金利環境の厳しさを如実に表しています。
昭和の高金利時代
日本の金利が最も高かった時期は、1970年代から1980年代初頭にかけてのオイルショック後の時代でした。
当時、政策金利は約9%に達しており、「72 ÷ 9 = 8」の計算から、資産が約8年から10年で倍になる状況でした。
このような高金利時代では、普通預金や定期預金だけで大きな利息収入を得ることが可能で、多くの家庭で「貯蓄」が資産形成の重要な手段として機能していました。
ただし、当時のインフレ率も高かったため、実質的な購買力を維持するには注意が必要でした。
低金利時代の現状と課題
1990年代以降、日本は長らく低金利時代に突入しました。
バブル経済の崩壊以降、政策金利は下がり続け、現在ではゼロ金利政策やマイナス金利政策が適用されています。
この結果、預金の利息は微々たるもので、貯蓄だけで資産を増やすのが極めて難しい状況です。
先にも計算しましたが、
金利0.5%の場合
72 ÷ 0.5 = 144年 → 0.5%の金利でも、資産が倍になるのに144年を要します。
金利1%の場合
72 ÷ 1 = 72年 → ようやく72年で倍になりますが、それでも非常に長い時間が必要です。
これらの計算例からわかるように、低金利環境において、お金を預けておくだけで資産を増やすのは非常に非効率です。
そのため、低金利の時代では、投資信託や株式投資、さらには不動産投資といったリスクを伴う資産運用が注目を集めています。
また、低金利時代は住宅ローンを組む際には有利に働くことが多く、資金調達において恩恵を受ける側面もあります。
利子に掛かる税金
利子所得には約20%の税金が課されます。
このため、たとえわずかな利息が発生しても、その一部は税金として差し引かれるため、手取り額はさらに少なくなります。
例えば、金利が1%で100万円を1年間預金した場合、得られる利子は1万円ですが、税金を差し引くと実際に手元に残るのは約8,000円です。
たとえ利息が10円であっても、およそ2円の利息が今でも徴収されています。
金利が上がれば資産運用は変わる?
現代の低金利環境では、金利の力だけに頼るのではなく、多様な運用方法を検討する必要があります。
仮に金利が3%程になれば、およそ24年で資産は倍になるので、投資することなく定期預金だけの運用を考えてもいいかもしれません。
何よりも元本が保証され、リスクなく確実にお金は増えます。