終末時計が残り1分40秒!進んだり戻ったりする時計に悲観することはない

独り言

2020年1月24日

人類最後の日までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の時刻を発表してきたアメリカの科学雑誌は大国間の軍拡競争に加え、気候変動への対策の遅れなどで、人類に対する危機はかつてなく迫っているとして、これまでで最も短い残り「1分40秒」と発表しました。

アメリカの科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は23日、首都ワシントンで記者会見を開き、人類最後の日までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の針を、残り「2分」だった去年から20秒進め、残り「1分40秒」と発表しました。これは冷戦期から現在までの間でもっとも短い残り時間です。

その理由としてINF=中距離核ミサイルの全廃条約の失効による核軍縮への不信感や、アメリカとイランの対立の激化、それにアメリカと北朝鮮の核・ミサイル問題についての交渉の停滞や宇宙やサイバースペースを舞台にした新たな軍拡競争の激化などで世界的に軍事的な緊張が高まっているためだとしています。

また気候変動に対する各国の関心が低く、効果的な対策がとられていないことも人類にかつてない危機をもたらしているとしています。

会見にはパン・ギムン(潘基文)前国連事務総長も出席し、「多国間主義の重要性が増している」と述べ、各国間の対話による問題の解決を訴えました。

出典:NHK NEWSWEB 終末時計 残り「1分40秒」 これまでで最短 かつてない危機

終末時計は、「世界終末時計」や「運命の日の時計」とも呼ばれるています。

世界の終末を午後0時とし、「0時まであと何分」という形で表現する架空の時計です。

終末時計が創設されたのは、今から70年以上前の1947年で、その時の時刻は7分前でした。

記事では、「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」と記載されていますが、「原子力科学者会報」と日本語に訳されます。

創設された1947年の2年程前、日本に原爆が落とされています。

核兵器(原子力)が実際に使用され、広島・長崎に壊滅的な被害をもたらしました。

原子力科学者にとって、自身が研究する原子力が戦争等で乱用されれば、世界が滅亡すると危機感を切実に持ったことでしょう。

終末時計は、そのことを警告する象徴的な時計と言えます。

この趣旨の下、軍事的な緊張が高まれば、終末時計の針は進むことになります。

1991年、世界時計は大きく針を戻し17分前としました。

理由は、ソ連崩壊により冷戦が終結したことにあります。

ここ10年で見ると、2010年に6分前だった針は着実に進み、昨年の2分前から今年は20秒進め
1分40秒前となりました。

気候変動に対する各国の関心の低さは指摘していますが、世界規模で激甚化する気候変動によって終末を迎えるといった要素は余り含まれていないことでしょう。

世界平和と連動し、針が進んだり戻ったりする歴史ある時計。

戦争等の武力抗争ではなく、各国間の対話による問題解決を促す上で、意義ある役割を果たしています。