川崎殺傷事件の背景にある「8050問題」の闇、隠れた家計に潜む問題点

社会情勢

川崎殺傷事件とは

28日、川崎市でスクールバスを待っていた小学生らが次々と包丁で刺され2人が死亡、17人がけがをした事件で、犯行後に自殺したとみられる容疑者の男はわずか十数秒の間に被害者を襲っていたことが捜査関係者への取材で分かりました。

28日午前8時前、川崎市多摩区の路上でスクールバスを待っていた小学生17人と大人2人の合わせて19人が包丁で刺されるなどして、いずれも都内に住む小学6年生の栗林華子さん(11)と、外務省職員の小山智史さん(39)が死亡しました。またほかの17人も重軽傷を負いました。

警察によりますと、事件を起こしたのは川崎市麻生区に住む岩崎隆一容疑者(51)で小学生たちを刺したあと、みずから首を刺して死亡し、自殺と見られています。

岩崎容疑者ははじめに小山さんを背後から刺し、それからわずか十数秒の間に70メートルほど移動しながら次々と小学生らを襲っていたことが捜査関係者への取材で分かりました。

凶器とみられる2本の柳刃包丁はいずれも刃渡りがおよそ30センチあったということで、警察は殺人の疑いで捜査するとともに、なぜ子どもたちを執ようにねらったのか詳しい動機を調べています。

出典:NHK NEWS WEB 「川崎殺傷事件 容疑者の男わずか十数秒間に19人を襲ったか」

犯行に及んだ51歳の男性は、80代の伯父と叔母と同居し引きこもりの状況にありました。

この一報を聞き、頭に浮かぶのは「8050問題」です。

8050問題とは

「8050問題」(はちまるごーまるもんだい)は、80代の親が50代の引きこもり等の子の生活を支え、主に子が社会から孤立するという問題です。

「引きこもり」は、1980年代~90年代に激増し、社会問題として取り上げられようになりました。

バブル崩壊(1991年~1993年頃)後においても、「就職氷河期」と呼ばれる就職難の時代が2004年頃まで続きます。

この間に、高校や大学を卒業した人を「氷河期世代」と言われています。

就活の失敗を機に、「引きこもり」になった方も多いことでしょう。

「引きこもり」が社会問題化してからおよそ30年が経ちました。

「引きこもり」も、40代~50代へと高齢化が進み、当然その親も70代~80代の高齢者となっています。

高齢化した「引きこもり」は、更に高齢化した親に生活を頼ることになります。

親も仕事を退職し家計が厳しくなる一方、体力も衰え子の面倒を見られなくなります。

「家庭」という、ある意味閉鎖的な空間で起こる問題であり、親子ともに社会から孤立する傾向にあります。

少なくても、1980年代から2004年頃までの約25年間は、引きこもりの人数は累積されています。

現時点での8050問題は序章に過ぎません。

「8050問題」は、一過性の問題ではなく年々問題が深刻化するものと思われます。

8050問題に関わる事件

8050問題を象徴する事件

2018年1月、北海道札幌市中央区のアパートの一室で、二人暮らしの母(82歳)とその娘(52歳)の遺体が発見されました。

警察の調べでは、82歳の母が先に亡くなり、一人となった娘は気づかれることなく衰弱死したものと見られています。

その後の司法解剖の結果、死因はいずれも低栄養状態による低体温症と判明。

母は2017年12月中旬、娘は12月末頃に、「飢え」と「寒さ」で死亡したとみられています。

私が8050問題を知るきっかけとなった事件です。

社会から孤立した親子が、共倒れしたケースです。

親の死体遺棄容疑で子が逮捕

2018.9.2

長崎市で8月、母子2人暮らしのアパートで母親=当時(76)=の遺体が見つかり、息子(48)が死体遺棄容疑で長崎署に逮捕された。関係者によると、息子は無職で長年ひきこもり状態だったという。近年、50代のひきこもりと80代の親が社会的に孤立し困窮する「8050(はちまるごーまる)問題」が深刻化している。母子もそれに近い状態だったとみられる。

出典:長崎新聞 「ひきこもり、孤立の末 母76歳の死体遺棄事件」

同居の親を子が刺殺

2018.5.23

東京都杉並区の住宅で同居する父親の青木章達さん(87)を刺したとして、警視庁高井戸署は22日、殺人未遂の疑いで、長男で無職の一晴容疑者(55)を現行犯逮捕した。章達さんは搬送先の病院で死亡が確認され、同署は容疑を殺人に切り替えて調べる。

容疑は22日午前9時半ごろ、杉並区下高井戸の自宅で、父親の章達さんの首や足を刃物で複数回刺すなどした疑い。同署によると、一晴容疑者は当初「人を殺した。父親をナイフで刺した」と自ら119番したが、調べには「何も話したくない」としている。

出典:サンスポ 「杉並で父親刺殺 55歳長男を殺人の疑いで逮捕」

第3者の他人をも巻き込んだ今回の事件

8050問題は、閉鎖された家庭内での問題と思われてきました。

「親子の共倒れ」「遺体遺棄」「親の刺殺」と事件をみても、一家庭内に留まっています。

当事者である親子の問題と思っていましたが、その概念は覆されました。

社会からある意味孤立した「引きこもり」のターゲットは、同居人の親だけではなく「社会」も含まれることが明らかになりました。

「何故、自分が引きこもりになったのだろう?」

そう考えた時、親や社会が悪いと思うのは、社会から孤立した立場では必然なのかもしれません。

8050問題~隠れた家計に潜む問題点

80歳の親と考えれば、定年が60歳とすれば20年間、引きこもりの子を養うことになります。

親の金銭的な負担はどのくらいなのでしょう。

一例を紹介します。

他、親との共通費用として食費と光熱費が加算されます。また車を所有しているので、車検やタイヤ代なども掛かります。

例の場合、年間約80万円の負担となります。

20年間では、単純計算で1,600万円の負担となります。

年金生活の親にとって、1,600万円の負担は大きなものです。

親が60歳の時は、退職金もあったことでしょう。

資産はじわりじわりと減り続け、70代、80代の時点で資金不足に陥ります。

子を養う経済負担の大きさに気付くのです。

肉体的に老いた親が働く術もなく、引きこもりの子に自立を促す他ありません。

子にしてみれば、今まで生活してきたのに何故今更と思うことでしょう。

資金不足になれば、親子関係の悪化は避けられない状況となります。

 

下記は、旧ブログでの関連記事です。