2020年9月3日 静岡朝日テレビ
母親の遺体を3年間放置し、年金を不正に受給した罪に問われた57歳の息子に実刑判決です。
判決によりますと住所不定の無職の息子(57)は、2016年11月、静岡市清水区で同居していた当時89歳の母親の遺体を自宅におよそ3年間放置し、年金196万円あまりを不正に受給しました。
息子は「当時のことは酒を飲んでいて記憶がない。自分が殺したと思って怖くなった」と話し、病気で死亡したとみられる母親の遺体を発見した後、母親の口座から年金を引き出して全国を転々としていました。
静岡地裁の伊東顕裁判官は判決で「動機に酌むべきところはない」と指摘。一方で、「事実を認めて反省している」として、懲役1年10カ月を言い渡しました。(※求刑 懲役3年)
被告は二つの罪に問われています。
息子である男は、今年の3月に死体遺棄の疑いで逮捕されました。
その後、清水署の捜査により母親の年金を不正に受給したとして、詐欺の疑いで6月に再逮捕されています。
母親が死亡しているのを見つけたにもかかわらず、死亡届を日本年金機構に提出せず、その後約2年間、母親の遺族厚生年金を不正受給した疑いが持たれていました。
銀行などの現金自動預払機(ATM)の防犯カメラに、死亡した母親の銀行口座から年金を引き出す被告が複数回映っていたことが明らかになっています。
約2年間で196万円、月にして8万円程の年金額です。
「全国を転々としていた」とありますが、実家を離れ金銭的にも余裕のない生活を送っていたことでしょう。
8050問題の末路とも思える事件ですが、今後も同様なケースは増加傾向にあることでしょう。