多様化する8050問題

8050問題と言えば、
昨年の「川崎市の無差別殺傷事件」や「元農水次官の息子刺殺事件」などが記憶に新しいところです。
8050問題は、一般に家庭内に起こる問題と思われてきましたが、
「川崎市の無差別殺傷事件」では、家庭内に留まらず、第三者である一般市民を巻き込む悲惨な殺人事件となりました。
「元農水次官の息子刺殺事件」では、原因はひきこもりにあるものの、言わばひきこもりが被害者となり、加害者が親という痛ましい事件です。
・問題を起こすのは、ひきこもりとは限らない
この2つの事件は、これまでの8050問題の常識を覆した事例かもしれません。
そう言った意味で、8050問題は多様化しており、解決策も一筋縄ではいかないのが現状です。
ただ、唯一共通するのは「社会からの孤立」であり、問題を解く鍵となることでしょう。
8050問題のメカニズム
子がひきこもりになるタイミングは様々でしょう。
学生の頃からひきこもりの方もいれば、社会人となり職を失いひきこもりとなる方もいます。
親が元気な内は問題は起きにくい傾向にあり、親が高齢になると問題は深刻化します。
8050のネーミングからわかる通り、80代の高齢の親、50代の高齢の子の問題です。
70代・80代になれば、親は死を意識し将来の息子を案ずるようになります。
また年金生活であれば貯蓄なども減り、親自身を含め将来的な家計不安に陥るかも知れません。
40代・50代の子に、働くことを促す親もいるでしょう。
このことが、親子関係を悪化させる要因の一つとされています。
子にしてみれば親の死は考えたくもなく、ひきこもり生活が長ければ、働く意欲は欠如していることでしょう。

親の死は必ずやってきます
子が親の死を意識した時、親の死によって、ひきこもりという立場を失うことに気付きます。
それが何よりもの不安になることでしょう。
8050問題では、親の遺体を放置する遺体遺棄の事件が多く発生しています。
「何も考えられなかった」
「葬儀をするお金がない」
「親の年金収入がなくなる」
遺棄する理由は様々ですが、親の死を想定せずに引き延ばした結果のように思えます。
8050問題の多くはお金の問題
上記の8050問題のメカニズムは、お金に余裕がない前提の話です。
もし親に十分な資産があれば、親が死んだ後も子は不自由なく生活ができます。
親も子にお金を残せれば、子の将来の心配は軽減されることでしょう。
子も親に十分な資産があることを知っていれば、親の死への不安は金銭面において解消されます。
8050問題の多くは、最終的に「お金の問題」と言っても過言ではありません。
親が60代であれば、定年退職を迎えたばかりで、仮に「退職金」等があれば、自身が生きている間はひきこもりの子の面倒をみることができると思われるかもしれません。
ただ、5年、10年、20年と生活する中で、ひきこもりを養う費用の重みを徐々に感じることでしょう。
70代、80代で親を含め家計が崩壊を招くこともあるでしょう。
早い時点でFPに相談することで、状況を把握し対策を練ることができます。
早い時点とは、遅くても6030時点であり、親が退職する頃が最終目途かと思われます。
・子がいつまでひきこもり生活が可能か?
・親の死後、親の資産でいつまで子が生活可能か? 等
FPであれば、およその時期がつかめます。
子に就労を進める際も、親の資産状況を加味し、今の生活レベルを維持する為には、「いくら稼げばいいか」「生活レベルの改善」などアドバイスが可能です。
ひきこもりを養う親の方へ、
家庭内だけで悩まず、早い時期に一度FPに相談されることをお勧めします。