7月31日、「郵政グループ3社社長会見」の謝罪会見で、日本郵政の長門社長が「冗談ではない」と憤り声を高めました。
7月29日の記者会見における「岩田発言」及び「清田発言」に対するものです。
郵政民営化委員会の岩田一政委員長は、
と指摘し、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)も、
として問題視する発言が報じられていた。
長門社長は、この発言に不満を持っていたのであろう。
「自分は知らなかったからシロだ」と個人レベルの言訳を添え、「冗談ではない!」と二人の意見を一掃しました。
端的な論点で言うと、一般投資家に株を売却した2019年4月時点で、今回の一連の不適切販売の実態を知っていたかどうか?と言えます。
長門社長の言い分では、
5月のかんぽの取締役会で、不適正募集の事案として業法違反と認定されたものが22件あることを知っていた。
6月27日の2万4千件は、この22件と比べても桁が違い異次元の数字が出てきて、そのような認識になった。
4月4日の時点はまだ全くシロです。
4月の時点で長門社長自身が「知らなかった」から、公表や情報開示ができなかったと言うものです。
「不詳事案を速やかに公表すべき」「適切な情報開示がなかった」という意見に「冗談ではない」と反論したのです。
不適切な販売は、少なくても2~3年前から行われてきたものであり、今始まった話ではありません。
NHKのクローズアップ現代では、1年前に不適切販売の実態を報道し、且つ郵政の経営側にその事実を伝えています。
公共放送で報道され、長門社長は本当に不適切販売の実態を知らなかったのでしょうか?
このNHKの報道を見た「視聴者」ですら昨年から「危機感」を感じています。
100歩譲って、長門社長の個人レベルの話であれば「冗談ではない」でもいいでしょう。
岩田委員長や清田CEOが指摘したのは、そう言った個人レベルの話ではありません。
日本郵政が保有しているかんぽ生命の株式を一般投資家へ売る時点で、会社の根幹に関わる情報や事象を伝えていなかった点を指摘しており、長門社長が「知る・知らない」のレベルの話ではありません。
もしリンゴを買って、中身が腐っていたら消費者は販売店に文句を言います。
販売店は、中身は割ってみないとわからないとか、外観目視しても判断できなかったといっても言い訳にしかなりません。
販売店は責任をもって買い取りや交換する等、対応をすることでしょう。
長門社長に言いたい。
岩田委員長も清田CEOも
「腐ったかんぽ株を売るな!」と言っているのです。
少なくてもNHKは1年前に腐っていることを教えてくれました。
4月2,375円のかんぽ株は、本日8月5日時点で1,672円となり、わずか数ヶ月で3割も値崩れしています。
「売却する4月の時点では知らなかった」という長門社長の発言に、一般投資家は「冗談ではない」と言うことでしょう。