2019年9月27日
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、詳しい内部調査の対象になったおよそ18万3000件の契約のうち、今月半ばの時点で、4000件以上について、法令や社内規定に違反する疑いが出ていることが分かりました。日本郵政グループは、今月30日に内部調査の中間報告を公表する方針です。
この問題で日本郵政グループは、平成26年度から平成30年度までの5年間の新規契約のうち、顧客が不利益を受けた可能性のある、およそ18万3000件について、電話や対面で詳しい内部調査を進めています。
関係者によりますと、このうち、今月半ばの時点で4000件以上で、顧客に虚偽の説明をするなどの法令違反や、契約内容を適切に説明していないといった社内規定違反が疑われる事例が出ているということです。
ただ、この時点では、調査ができたのは全体の半数に届いておらず、不適切な販売の事例はさらに増える可能性があります。
日本郵政グループは、今月30日、経営トップが記者会見して内部調査の中間報告を公表し、年内いっぱいは、保険の販売の営業を自粛することなども併せて発表する見通しです。
出典:NHK NEWSWEB かんぽ生命の不適切契約 4000件以上か
経営が認識していた法令違反との乖離
今回の内部調査が行われる前、保険業法などの法令違反は4年間で73件と公表されてきました。
28年度 15件
29年度 20件
30年度 22件
経営側は「かんぽ生命株」を売り出す4月時点で、22件の法令違反を認識しています。
確かに22件は、郵政グループ約23万人の巨大組織であれば僅少なのかもしれません。
ただ、企業において法令違反は1件でも発覚すれば大問題です。
22件の不正を極めて僅少と堂々と主張し、現場は知らぬ存ぜんの言訳をしてきました。
今回、調査対象となっている18万3千件についても、
と説明してきました。
18万3千件の内部調査が道半ばで、法令違反や社内規定違反が4,000件以上と報道されています。
事実であれば、経営側のこれまでの認識や説明が、現実と大きく乖離したものとなります。
金融庁の処分は
かんぽ生命及び日本郵便は、およそ10年前に金融庁より「業務改善命令」が下されています。
その時の業務改善命令は、今にも通ずるものがあり、何の改善も見られていません。
仮に業務改善命令を出すとすれば、10年前の内容と重複する部分が多いものとなるでしょう。
過去の「保険業法」における処分事例を見ると、
があります。
「業務廃止命令」は、債務超過等財政状況が著しく悪化している場合に命じられています。
過去の処分事例を踏まえれば、
「業務停止命令」が妥当かと思われますが、過去に類をみない大規模な不正であり、過去の処分事例では推測できないものかもしれません。
「法令違反」であれば、当然ながら郵便局員等の「個人」の責任も追及されることでしょう。
ただ、これだけ「組織ぐるみ」で行われている以上、経営側の責任は免れないものと思われます。
注目される9月30日記者会見
30日、経営トップが内部調査の中間報告を公表する予定です。
過去の記者会見では、最初と最後は頭を下げ謝罪の言葉を述べるものの、中身は経営側の正当性を訴える言訳に終始しています。
現場実態が不透明な中での会見であり、今回はその部分が半ば明らかになっての会見となります。
マスコミも厳しく「経営責任」を問いただすことでしょう。
もう経営側に自分たちの正当性を語る資格はありません。