2019年6月25日
日本郵政の傘下のかんぽ生命で顧客に不利になるような保険契約の乗り換えが確認されたことについて、石田総務大臣は日本郵政に対し、適正な営業活動を行うよう行政指導を行ったことを明らかにしました。
日本郵政傘下のかんぽ生命では、既存の保険契約から新たな契約に乗り換える際に、顧客に不利になるような乗り換えが行われていたことが明らかになっています。
これについて石田総務大臣は25日の閣議のあとの記者会見で、「かんぽ生命の社内調査により、去年11月の契約の中で、合理性が疑われる契約が約5800件あったという報告を受けている」と述べました。
出典:NHK NEWSWEB かんぽ生命 顧客不利な保険契約乗り換えで日本郵政に行政指導
この記事を見て、何か違和感がありませんか?
「かんぽ生命の社内調査により・・・・」
これだけを見れば、「社内調査」が発端で事実が明確化されたと思われる方もいることでしょう。
内部統制が機能しているようにも感じさせます。
昨年4月、NHKクローズアップ現代という報道番組で、目を疑うような番組が放送されています。
2018年4月24日放送
『郵便局が保険を”押し売り”!?~郵便局員たちの告白』
出典元:NHK報道番組 クローズアップ現代
この報道番組の凄いところが、番組に寄せられた声の実態を探るためSNSを活用し調査。
消費者だけではなく郵便局関係者からも集まった400件以上の情報を元に取材を深め番組が制作されています。
番組では、生々しい声が綴られています。
元郵便局員 Bさん
「郵便局というだけで、高齢者の場合、だましやすい。」かつて、営業成績優秀者として表彰されたこともあるBさんが明かしたのは、郵便局の利点を悪用したテクニックでした。
左は、ゆうちょ銀行の貯金通帳。そして右は、かんぽ生命の保険証券です。郵便局で貯金している高齢者に「通帳が緑から青に変わる」などと説明。貯金と保険を誤認させるような説明で契約したといいます。
出典元:NHK報道番組 クローズアップ現代
これは放送のごく一部に過ぎません。詳細は出典元の番組HPで確認して下さい。
高齢者を狙った卑劣な営業方法に驚かされることでしょう。
この放送は、2018年4月に放送されたものです。
これだけの事実がありながら、日本郵政に行政指導が下るまでに1年以上も経過しています。
「かんぽ生命の社内調査により、去年11月の契約の中で合理性が疑われる契約が約5,800件あったという報告を受けている」
昨年11月だけの契約で5,800件であれば、その全体像は数万件規模となるのでしょうか?
また、ゆうちょ銀行では、顧客情報の紛失や社内規範に反する投資信託の販売が発覚したことも指導の対象となっています。
大臣が口頭で行政指導とは?
口頭での注意レベルなのでしょうか?
実際の処分は分かりませんが、こんな悪質な金融機関であれば「業務停止」や「登録取消」が妥当と思われます。
もともと「御上(おかみ)」が運営していた日本郵政、高齢者の信頼度は高かったことでしょう。
今は民間とはいえ、高齢者を欺く営業には本当に憤りを感じます。
また何かと批判の多いNHKですが、今回の「オープン・ジャーナリズム」といった手法は、個人的には評価できるものと思われます。