消費者庁「最大半額」に国民へ注意喚起!正論を振りかざす企業いじめ?

独り言

2019年9月26日

来月1日から携帯電話料金の新しいルールが導入されるのに合わせて一部の携帯電話会社が新しい料金プランの広告で端末代金を「最大50%オフ」などと表示していることについて、消費者庁は実際には半額以上の費用がかかるとして注意を呼びかけました。

来月1日から始まる携帯電話料金の新たなルールに合わせて一部の携帯電話会社は、端末代金を48か月の分割払いで購入し25か月目以降に新しい機種に買い替えれば残りの支払いを免除するなどの料金プランを発表しました。

消費者庁はこうしたプランの広告で端末代金が「半額支援」や「最大50%オフ」などと表示されていることについて、実際には支払いの免除を受けるためには毎月数百円のプログラム利用料が必要なことや、古い機種は回収され別途下取りに出すことができないなどの条件があり、最終的に半額以上の負担がかかると指摘しました。

このためこうした広告は消費者に誤解を与えるおそれがあるとして注意を呼びかけるとともに、携帯電話各社に対しても分かりやすい表示をするよう求めました。

消費者庁の伊藤明子長官は「消費者には広告をよく見て、実際の負担を理解したうえで申し込みをしてほしい。事業者も誤解を与えない適切な表示をするよう真摯(しんし)に取り組んでもらいたい」と話しています。

出典:NHK NEWSWEB 携帯電話会社「最大50%オフ」広告に注意を 消費者庁

菅官房長官の発言から僅か1年2ヵ月!これまでの動向

昨年8月、菅官房長官が、

・携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある
・大手携帯電話会社は巨額の利益を上げ競争が働いていない

と札幌市での講演で通信料金の値下げを示唆しました。

背景には

総務庁の家計調査で、2017年の携帯電話の通話料が、年間10万250円と初めて10万円の大台を突破し、「通信料が他の消費を圧迫している」との見解が、発言の切っ掛けとなっているものと思われます。

公正取引委員会もこの発言に同調し、

・2年縛りや4年縛りの料金プラン
・SIMロックの設定、
・通信とのセットで端末代金を値引きする販売方法

は独占禁止法上問題となる恐れがあると報告書にまとめ公表しました。

 

今年5月、「改正電気通信事業法」が参院本会議の場で可決しました。

改正電気通信事業法の主な目的は、携帯事業者に毎月の通信料と端末代の完全分離を義務付け価格競争を促す目的があります。

 

今年10月1日より、同法のもと毎月の通信料と端末代の完全分離が実施されます。

菅官房長官の発言から僅か1年2ヵ月、トントン拍子で事が進んでいます。

新規参入による価格競争の激化を目論む

10月には刺客とも言える、第4のキャリア「楽天モバイル」の新規参入が決まっていました。

基地局の建設が遅れ、10月の本格スタートは見送られましたが、通信網が整い次第本格始動されます。

「世界中のキャリアが夢見た通信のアポロ計画」

と表現する楽天モバイルの通信インフラは、汎用機とソフトウェアを活用することで、これまでにない低価格と高速化を実現させます。

楽天モバイルの参入は、既存の3大キャリアにとって脅威そのものと言えます。

政府は、法律の整備(通信料と端末代の完全分離の義務化)と新規参入の認可を併せ、価格競争を促すよう目論んでいます。

事業者への通達ではなく国民への注意喚起

3大キャリア(携帯事業者)である、NTTドコモ、AU、ソフトバンクは、これらの対応に追われてきました。

これまでにも、2年縛りや違約金などの契約自体の見直しや料金プランの見直しを行ってきました。

今回、消費者庁が注意喚起をした「最大50%オフ」や「最大半額」は、携帯事業者にとって苦肉の策と言えます。

「最大」という言葉を使うことで、不当表示との誤認を回避しようとしたのでしょう。

注意喚起には、企業への強制力はなく事業者名も挙げていませんが、AUとソフトバンクは広告を順次停止する意向を示し、実質的な強制力が見られました。

消費者庁の国民への注意喚起は正論かもしれません。
しかしながら、所管である総務省から対象事業者に通達を出すことも可能だったと思われます。
対象がAUとソフトバンクの2社に限定されているのに、あえて事業者名を伏せ、強制力のない注意喚起で国民に知らしめるのは、消費者庁の「仕事してますアピール」にも見え、どこか「企業いじめ」にも感じられます。

携帯電話は今や「ライフライン」

携帯電話は今や「ライフライン」を担う存在です。

今回、台風の影響で基地局が停電し通信が途絶えたケースでは、陸の孤島が生まれ、情報が麻痺する結果となり、県や政府の対応に影響を生じさせました。

料金面の価格競争は必要ですが、過度の競争により目先の利益が優先され、インフラ設備への投資が疎かになる可能性があります。

ライフラインであれば「安定供給」が求められます。

政府が企業に踏み入れないのは理解できますが、通信が途絶えることは国民の死活問題と言えます。

政府においては、単にに料金面だけを注視するのではなく、トータル面で国民利益となる方向へと導くことを期待します。