【新型コロナ】自粛警察の正義感と中世ヨーロッパの魔女狩り

独り言

「魔女狩り」とは

「魔女」の容疑を掛けられた者に対し、「訴追」「裁判」「刑罰」又は「私刑」等の一連の迫害を指します。

かつては、

「12世紀頃からキリスト教会が主導となり数百万人が犠牲になった」

という説が有力でしたが、研究が進み

「魔女狩りの主たる原動力は、キリスト教会等ではなく民衆側にあり、15世紀~18世紀までにヨーロッパで推定4万人~6万人が処刑された」

とされています。

現代において魔女狩りとは、

多くの無知による社会不安から発生した「集団ヒステリー現象」と考えられています。

 

魔女の判別方法は、魔女であることを本人が「自白」することです。

「自白」を目的に様々な拷問が行われました。

自白をすれば「処刑」、自白しなければ死に至るまで拷問と、容疑が掛けられれば必然と「死」を意味します。

魔女の容疑は、多くの場合が民衆の告発でした。

告発の内容は様々で、一概には言えませんが、例えば同性愛者や姦通者、隣人の恨みをかった者など、魔女の根拠に乏しい理由でも容疑に掛けられました。

「魔女」と「コロナ」の共通点は、「目に見えない」点にあります。

「自粛警察」とは

新型コロナ感染拡大に伴う外出や休業の自粛要請に応じていない者をSNS上に晒す行為と言えます。

休業要請を無視して営業を続ける店に非難の貼紙をしたり、脅迫電話を掛けるケースもあります。

更に他都道府県ナンバーの車に対し、ミラーやバンパーの破壊等、物損を及ぼす行為もあります。

コロナの場合は、症状が全くでない感染者もおり、自粛警察をする者を含め、国民全てが容疑者の立場と言っていいでしょう。

魔女の容疑に関しても、国民全てが容疑者と言えます。

「Witch-hunt」という女性名詞を用いた俗称から、日本では「魔女狩り」と翻訳されていいますが、犠牲者は女性だけでなく男性も数多くいました。

営業時間を守って営業する飲食店、ネット配信に集まったライブハウス、他の都道府県から来た車等、たとえルールを守っていても、個人の目に見える行動に対し、自粛警察が言わばコロナ容疑を掛けています。

警察への通報件数も増加傾向にあります。

2月   24件
3月   192件
4月  約1150件

通報内容は
「子供が公園で遊んでいる」
「自粛中なのに人が集まっている」
「風俗店が営業している」

「魔女狩り」時の行動に似ており、いつの時代も「見えない敵」に対する人々の行動は同じように思えます。

現代において、一般に「魔女」は存在しないとされていますが、コロナウィルスは確実に存在します。その違いは大いにあるかもしれません。

一例では、医療機関での院内感染事例の発生に伴い、医療従事者やその家族に対する偏見や差別が拡大しており、あってはならないことと思われます。

専門家は

「こうした行為は自分を守ろうという防衛本能の表れだが、社会に分断を生み出している」

として冷静な行動を呼びかけています。

一つだけ確実に言えるのは、正義感のような意識を持ってはいけないことです。

自分が正しいとか、自分は悪いことをしていない等、思ってはいけません。

なぜなら、悪者を作り上げてしまうからです。

「魔女裁判」で誰が幸福を得たのでしょうか。

正義感に踊らされた国民の行動が、不幸の道へと突き進むかもしれません。