非正規公務員から悲鳴!期末手当支給も月給下がる新制度に唖然

独り言

2019/11/4

「月給が減らされて生活ができなくなる」。福岡県内の自治体で非正規職員として働く女性から特命取材班に悲痛な声が寄せられた。いまや市町村で働く職員の3人に1人は非正規雇用。保育現場や図書館など住民とじかに接する職場に多く、非正規なしに公共サービスは維持できないのが実態だ。何が起きているのだろうか。

女性は週5日フルタイムで働いて月給は10万円台半ば。来春から勤務体系が見直され、月給が1万~2万円減る方向だという。「新たに期末手当(ボーナス)を出すから年収は変わらないと言われるけど、月給が減ると日々の暮らしが立ち行かない。正規職員並みの業務を担っているのに…。私たちは都合よく働くロボットじゃない」

地方の非正規職員の制度は来年4月から大きく変わる。地方自治法などが改正され、期末手当が支給できるようになる。経験年数に応じた昇給も可能だ。「同一労働同一賃金」が進む民間以上に格差が指摘される非正規公務員の待遇改善が目的だった。

給与体系を具体的に決めるのは各自治体で、制度設計が大詰めを迎えている。福岡市は期末手当を正規並みの2・6カ月分支給する。一方、月給は3万円ほど下がる職員もいる。市の担当者は「正規職員と業務内容を比較して適正な金額にした。年収で見ると改正前を下回らないようにしている」と説明する。

期末手当を支給する代わりに月給を下げ、年収は変わらない-。

「全国の自治体でこうした動きが相次いでいる。年収維持か、アップしてもごくわずか。待遇改善にはほど遠い」。非正規公務員の実態に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治さんはこう指摘する。

人件費上昇を抑えようとフルタイムをパートに切り替えるほか、正規と比べて初任給を低く設定したり、昇給を抑えたりする自治体が多くあるという。

自治労総合労働局長の森本正宏さんは「年収がもう少し上がると期待していたが現状は厳しい」と話す。

出典:西日本新聞 期末手当新設で月給減 非正規公務員、悲痛な声 来春新制度 遠い待遇改善

政府が「同一労働同一賃金」の政策を掲げる中、お膝元の地方自治体では、非正規公務員から悲痛の声が漏れはじめています。

来年4月から始まる新制度とは、地方自治体によって異なる任用がされてきた非正規職員を新設の「会計年度任用職員」へ移行することで、期末手当(ボーナス)の支給が可能となります。

「会計年度任用職員」は、民間企業の「同一労働同一賃金」を目指す政府方針に沿い、非正規公務員の任用根拠として新たに位置付けられました。

地方自治体間での勤務条件が統一化され、期末手当などの支給によって正規公務員との格差是正を図ることが目的です。

新制度の導入で、非正規公務員が期末手当などの支給対象となり、当然ながら地方自治体の人件費負担は大幅に増加します。

問題の根源は、政府と地方自治体の負担割合が未だ決まっていない点にあるのでしょう。

政府は関連条例の改正を自治体に求める一方で、費用分担をどうするかを明らかにしていません。

新制度を導入することで一番困っているのは、財源に悩む「地方自治体」かもしれません。

報道では、

「期末手当を支給する代わりに月給を下げ、年収は変わらない」

政府と財源の調整がつかないまま、地方自治体が出した「苦肉の策」にも見えます。

地方自治体も、ある意味「被害者」なのかもしれません。