2019年11月2日
持ち帰りと店内飲食、それぞれの商品を提供する飲食店では、持ち帰り用として購入したものを店内で飲食することで2%分の消費税を免れる、いわゆる “イートイン脱税” への対応を迫られています。
消費税率の引き上げに伴い、食料品などの税率を据え置く「軽減税率」が導入されましたが、店内で飲食する場合は軽減税率は適用されず、税率は10%となります。
しかし、持ち帰り用として8%の税率で購入したものを店内で飲食し、2%分の消費税を免れる行為が、“イートイン脱税” としてSNS上などで話題となっています。
名古屋市中区のから揚げ店では、店内や入り口に商品を食べられるスペースを設け、客の注文時に持ち帰りか店内飲食かを尋ね、それぞれの税率にあわせた代金を請求していました。
しかし、持ち帰り用として購入したにもかかわらず店の入り口のベンチに座って食べる客が後を絶たなかったことから、先月中旬以降、ベンチを撤去しました。
から揚げ店の郷博美店長は「2%分多く代金を支払って店内で飲食してくれる客に申し訳なく、やむなくベンチを撤去しました。同じ商品なのに税率が変わる制度はできればやめてほしい」と話しています。
大手コーヒーチェーンの「ドトールコーヒー」では、店内で飲食する客にも希望に応じ持ち帰り用と同じ紙コップで商品を提供していますが、持ち帰り商品と区別するため「EAT IN」と書かれたシールを貼って対応しています。
店内での飲食であることを明示して “イートイン脱税” を防ぐとともに、「正しい税率で支払っているのに “イートイン脱税” の客だと思われて気分がよくない」といった声もあったことから、先月中旬以降、すべての店でこうした対応に踏み切ったということです。
出典:NHK NEWSWEB “イートイン脱税” 後絶たず 座席撤去など店が対応
軽減税率導入前から懸念されていたコンビニでのイートイン問題。
「外食は贅沢」という古い考えが、制度の根底に潜むものと思われます。
昭和の時代であれば、外食は贅沢だったのかもしれません。
コンビニでのイートインは贅沢とは無縁かと思われます。
スペースには、確かに固定資産税や椅子やテーブルなどの経費が掛かっています。
しかしながら、イートインスペースは「無償」で提供されているものです。
言わば「0円サービス」です。
0円のサービスに、1.08や1.10を乗じても0円です。

コンビニ業界は、なぜイートインスペースを作ったのでしょう?
トータル的な企業利益の追求はあるかもしれませんが、イートインスペースは無償で提供されていることから、直接的な営利目的でつくられたものではありません。
無償提供の理念に、そもそも税金を掛けていいのでしょうか?
持ち帰りだと8円の消費税を支払います。
イートインの場合は10円の消費税を支払います。
差額の2円は、無償提供されたスペース分の消費税と言えます。
コンビニは、キャッシュレス決済のポイント還元においても、FC加盟店は2%の補助金が出ますが、直営店には補助金がでませんでした。
コンビニ業界は、消費者の混乱を避ける為、直営店は自己負担で2%の値引きをすることで対応しました。
「軽減税率制度」と「ポイント還元制度」により、コンビニ業界は振り回されたと言っていいでしょう。
「イートイン脱税」は、軽減税率制度の不備が生み出した犯罪です。
事前に脱税が予測されたにも関わらず、制度を見直さなかった政府の責任とも言えます。