国民健康保険の上限額はどこまで上がる?ここ10年で約3割の負担増

独り言

2019年10月31日

自営業者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、保険財政を改善するため、高所得者の年間の保険料の上限額を来年度から2万円引き上げて82万円にする案を、31日の社会保障審議会に示しました。

自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、高齢化で悪化している保険財政を改善するため、毎年、保険料を見直していて、31日開かれた社会保障審議会の医療保険部会に来年度からの見直し案を示しました。

それによりますと、年間の保険料の上限額を今の80万円から2万円引き上げて、82万円にするとしています。

引き上げは3年連続で、厚生労働省の試算では、上限額を支払うのは年収がおよそ1120万円以上の単身世帯になるということです。

また、40歳から64歳の人が一緒に納める介護保険の保険料についても、年間の上限額を今の16万円から1万円引き上げて、17万円にするとしています。

これらを合わせた保険料全体の年間の上限額は99万円となり、加入者全体の1.68%の世帯が対象になる見通しです。

出典:NHK NEWSWEB 国民健康保険の保険料上限額 来年度から2万円引き上げへ

個人事業主や年金生活者、無職の方等も加入している国民健康保険。

国民健康保険料は地域によって異なります。

従来より「市町村」が保険者となり運営してきましたが、市町村によっては人口構成、病院の数、所得水準等が異なります。

医療費を多く使っている自治体や低所得者が多いと保険料が高くなります。

平成30年より保険者に都道府県も加わり、都道府県単位にすることで保険料の安定化を図ろうとしています。

所得税や住民税は、所得控除を増やすことで節税できますが、国民健康保険料はそのような術はありません。

住民税が非課税であっても高額な国民健康保険料を支払うケースが見られるようになりました。

以下に上限額の推移を示します。

今年は介護保険料も含めると3万円の増額となり、合計で99万円の上限額になります。

今から10年前は、合計で77万円の上限額でした。

10年間で約3割(28.6%)程アップしています。

低所得層への配慮はあるものの、上限額が上がれば上限以下の保険料も上がっていると考えていいでしょう。

今、サラリーマンとして働いている方は、関係のない話に思われるかもしれません。

しかしながら、いずれ会社を退職すれば国民健康保険に加入することになります。

けして他人ごとではないのです。

政府は、平成30年より国民健康保険の制度改革を行っています。

このペースでは、いずれ制度自体に限界が来るよう思えます。

国民健康保険に限らず、国の健康保険制度を見直す時期かと思われます。

上限額を上げ続ける対応ではなく、抜本的な制度改革を期待します。