FP資格は役に立つ?
FP資格は「役に立たない」という声が聞かれますが、確かに資格を取得しても、就職や転職等において優位性はないのかも知れません。
業務独占資格ではない為、資格の持つ効力的な意味で、役に立たないと言われているよう思われます。
資格が無くてもFPに関わる業務が可能で、誰でもFPと名乗ることができます。
なぜ、リタイアすると「役に立たない」と言われるFPを自ら学ぶのでしょうか?
理由は、リタイア後のお金の不安を解消する為です。
資格としては、就職や転職等に役に立たないかもしれませんが、自身のお金の悩みを解消するには「とても役立つ」と言っていいでしょう。
一般に資格とは、
ある事をしてよいという身分や地位。
またそれを得るのに必要な条件。
と言われています。
繰り返しになりますが、
FPの仕事は誰でもでき、誰でもFPと名乗ることができます。
FP資格には、一般の資格の概念とは異なるメリットがあります。
それは「学んだ自身にとても役立つ」ことです。
FP3級はFP資格の登竜門
「FPを学ぶ」と考えれば、FPの登竜門であるFP3級を学ぶのがいいでしょう。
FP3級の正式名称は、
「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」です。
FP1級や2級は実務経験が必要となりますが、FP3級は実務経験なく受験できます。またFP3級を取得することで、FP2級の受験資格が得られます。
FP1級~3級に共通して言えるのが、FPの柱となる6項目を学ぶ点です。
①ライフプランニングと資金計画
②リスク管理(保険)
③金融資産運用
④タックスプランニング(税金)
⑤不動産
⑥相続・事業継承
3級はこれらの項目を広く浅く学びます。
イメージとしては、3級、2級、1級と級が上がっていくと知識が深堀りされていきます。
FP3級を学べば、FPの全体像を把握でき幅広い知識を得ます。
FPの柱にはそれぞれ専門家がいます
FPの柱となる6項目では、①以外は専門家が存在します。
③金融資産運用→銀行や証券会社等の金融機関
④タックスプランニング→税理士等
⑤不動産→不動産業者等
⑥相続・事業継承→弁護士や司法書士等
例えば、
一般論を踏み越えた個別の「税務相談」は有償無償を問わず税理士の独占業務であり、一般論を超えた税務相談は税理士法に抵触するので、踏み込んだ対応を行う事ができません。
②~⑥の全てにおいて
職域が存在し、FP資格だけでは実務レベルで踏み込んだ対応ができません。
この点が、FP資格を取得しても「役に立たない」と言われる理由でもあります。
それではなぜ、FP資格が存在するのでしょうか?
個別の専門的な案件についてはFP資格は脆弱ですが、漠然とした「お金の悩み」には強みを発揮します。
例えば
・子どもを産んだ後の生活における金銭面の不安
・退職後の生活における金銭面の不安
・老後生活における金銭面の不安
FPの柱となる6項目の内、①ライフプランニングと資金計画の専門家がFPと言えます。
企業系FPと独立系FP
企業系FPとは、金融業界(銀行・証券・保険・不動産など)の会社で、FP資格を活用しながら業務を行っているFPです。
例えば、退職金の資産運用について相談するなら企業系FPに相談すればいいでしょう。
企業系のFPは、金融商品や不動産等に精通しており、個別の専門的な案件に強みがあります。
お客様へ自社の商品を提案する際に、ライフプランニングや資金計画のアドバイスなどが活かされます。
あくまで企業に属する立場なので、FPが最終的に提案する商品は自社商品の範囲内となります。
相談料は多くが無料ですが、漠然としたお金の不安の相談するには適さないことでしょう。
独立系FPとは、FP会社を設立しある意味「中立的な立場」で相談業務を行っています。
中立的な立場とは、顧客の利益を最大に考えアドバイスしてくれます。
例えば、5000万円でアーリーリタイアできますか?等の質問にも、一定の回答を示してくれるでしょう。
ただし、相談料は1時間あたり5,000円~20,000円が相場となります。
日本では、企業系と独立系FPの人数比は「8:2」と言われ、圧倒的に企業系FPが多く存在します。
日本ではFPの社会的地位が低いよう思えます。
独立系FPの相談料が高額に感じるのは、その為かと思われます。
米国では、「医師」「弁護士」に次ぐ「FP」と「人生に必要な専門家」としての地位が確立されており、企業系よりも独立系のFPが多く存在します。
漠然としたお金の悩みを相談できるのは独立系FP。
しかし独立系FPは相談料がかかる。(1時間あたり5,000円~20,000円が相場)→アーリーリタイアやセミリタイアする者は誰にも相談できず自らFPを学ぶのです。
FP3級は「一般常識」レベルなのか?
日本に住んでいるのであれば、日本の社会保障制度や、税制等をきちんと把握しているのは常識の範疇かもしれません。
簡単にそれを常識と言われる方もいますが、周りを見てもきちんと理解している方は一握りのよう思えます。
日本の様々な制度は日々変化しています。
日々その知識をブラッシュアップするのは難しいことでしょう。
FPを学ぶ時は、最新の情報が必要となります。
FP3級が、一般常識とある意味揶揄されるのは資格試験にあるよう思えます。
試験は、2択又は3択の選択式の問題です。
問題集を解くと、知識が曖昧でも正解する確率は50%又は33%です。
FP3級の合格点は60点、およそ7割の合格率です。
試験の難易度から一般常識と揶揄される方がいるようにも思われます。
FP3級の知識は退職時にも役立ちます
例えば、
退職後の手続きで健康保険の変更手続きが生じます。
退職後もそれまで加入していた健康保険に引き続き加入し「任意継続」するか、国民健康保険に加入するか、決めなくてはなりません。
FPを学ぶ前は、何を言っているのか、さっぱり理解できませんでした。
年金の種別変更手続きや住民税の支払い手続き等、わからないことばかりです。
FP3級を学べば、ベースとなる知識が得られ、何を言っているか理解できるようになります。
FP3級の知識は今後の人生に役立ちます
例えば、
親が健在であれば「相続」の問題が発生することでしょう。
相続は、プラス財産だけではなく借金等の負の財産も相続されます。
「相続放棄」するかは相続開始から3ヶ月以内に決めなければなりません。
この3ヶ月の間に何もしなければ自動的に単純承認をしたことになり、場合によっては親の借金を背負うことになります。
限定承認って何?
法定相続人って誰?
相続税はいくら?
相続した不動産の名義変更は?
知らない方が多いよう思えます。
あくまでも一例を示しましたが、FP3級を学ぶことで日本の様々な制度が理解できます。
日本で暮らすならFP3級の知識は必要不可欠
「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」は国家資格です。
国家資格とは、国の法律に基づいて各分野における個人の技能・知識が判定されるため、社会的な信用度の高い資格です。
「役に立たない」とか「意味がない」等と言われていますが捉え方を変えれば、
とも言えます。
資格を取得するか否かは、個人の価値観かもしれません。
日本で暮らすなら、日本の社会保障制度や税制等、きちんと内容を把握することは本来必要不可欠なことかもしれません。
その意味でFP3級の知識レベルは必要十分と言えます。