東京地裁「園児の声がうるさい」住民の声届かず!園運営会社の苦悩の日々とは

独り言

2020年6月18日

東京 練馬区にある保育園の近隣の住民が園児の声がうるさいとして騒音を止めるよう求めた訴えについて、東京地方裁判所は、騒音レベルが環境基準を超える傾向にあったと認めたものの、保育園側が園庭遊びを減らすなど音を抑える取り組みをしているとして、住民の訴えを退けました。

東京 練馬区に10年余り前にできた保育園の近隣の住民は、園児の声がうるさいとして、運営する会社に対し、騒音を止めることや賠償を求める訴えを起こしました。

18日の判決で、東京地方裁判所の伊藤正晴裁判長は、住民が測定した騒音のデータや裁判所の鑑定を元に、「日中の騒音レベルは環境基準を上回る傾向にあった。保育園の開設から2年程度は環境基準を大きく上回る騒音レベルがあった」と指摘しました。

一方で、「保育園は住民からの苦情も踏まえて園庭の使用を減らすなど、保育園から出る音が抑えられるように試行錯誤を重ねたと評価できる。こうした事情も考慮すると、騒音が我慢できる限度を超えているとは認められない」として、住民の訴えを退けました。

出典:NHK NEWSWEB “保育園児がうるさい”住民訴訟 騒音認めるも訴え退ける

保育園などの開設時、近隣住民からの「園児の声がうるさい」といった苦情で延期や断念をするケースは希ではありません。

今回のケースにおいて騒音の判断基準となるのは、東京都が定める「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」です。

この条例では、

「何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」

と規定しています。

具体的には、

住宅街では日中に45~50デシベル以上、夜間・早朝は40~45デシベル以上の騒音を敷地外に漏らすことを禁じています。

条例では、「何人も」と規定しているため、園児の声も該当することになります。

日常生活で「静かだ」と感じるのは45dB(デシベル)以下で、望ましい音のレベルは40~60dBであると言われています。

騒音の単位は「デシベル」で表されますが、どの程度の音なのでしょう。

例えば、

50デシベルは「直近にあるエアコンの室外機」や「静かな事務所の中」といった表現を目にします。

訴状では、「騒音は常に45デシベルを超え、頻繁に75デシベルを超える」と主張してきました。

過去の報道では、

保育所の運営会社は、高さ約3メートルの透明な防音壁を約1千万円かけて設置したり、窓は二重サッシにしたりと対策を行ってきました。

園庭で子供を遊ばせる時間を各クラス40分に制限したり、一度に園庭に出て騒がしくならないよう、ローテーション式にして1日2時間半から3時間で外遊びが終わるよう配慮してきました。

運営会社には、1日に5~6回も苦情電話があるなど、クレームが激しかった時期には外遊びを禁止した時期もあると言います。

外遊びを禁止すれば、保護者から「遊ばせろ」との苦情が入り、運営会社は板挟みの状況となり対応に苦慮されたことでしょう。

しまいには先方が、「うるさくないけど遊ばせるな」と言いだし、こっちから「出るところに出てくれ」とお願いした」との運営会社の証言もあります。

そもそも住宅街において保育園が、都の条例を厳守することに無理があるのかもしれません。

今回の東京地裁の判断で、運営会社の苦悩と努力の日々は、少なからず報われたかもしれません。