札幌?東京?五輪マラソン・競歩開催地!4者協議も手続きの場に過ぎない

独り言

2019年10月31日

IOC=国際オリンピック委員会が提案している東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す案は、31日IOCの調整委員会で、実務者による具体的な協議を行ったうえで、最終日の1日トップ級による4者協議を開き、結論を目指すことになりました。

東京オリンピックの猛暑対策としてIOCが提案したマラソンと競歩の会場を札幌に移す案は、都内で行われている調整委員会で議論が始まり、初日の30日はIOCのコーツ調整委員長が札幌での実施は決定事項だと強調したのに対し、東京都の小池知事は納得した説明を聞いていないとして改めて東京での実施を主張し意見が対立しました。

関係者によりますと、東京都は30日、マラソンの開始時間の前倒しや競歩のコースに日陰を作るなど東京で開催できる可能性を提示し、IOCにこれまでの経緯や暑さに関する判断の科学的根拠の説明を求めたほか、札幌に移す場合でも費用を負担しない考えなど7つの項目をあげたということです。

これらについて、31日実務者による具体的な協議を行ったうえで、最終日の1日、IOC、東京都、組織委員会、それに国のトップ級による4者協議を開いて結論を目指すことになりました。

議論では、理解を得たいとするIOCが、東京都の納得できる説明をできるかどうかが焦点となりそうです。

出典:NHK NEWSWEB 五輪マラソンと競歩の札幌移転案 4者協議で結論目指す

10月16日、IOCはマラソンと競歩の会場について、札幌に変更する案を発表しました。

その結論が出ようとしています。

引き金となったのは、カタールのドーハでの世界陸上で、棄権者が相次いだことを考慮しての対応と説明されています。

特に、女子マラソンでは68人中ゴールできたのは40人、優勝者の記録も個人ベストより15分も遅かった点が指摘されています。

IOCのトーマス・バッハ会長は、

「日本の組織委員会との協議の結果、マラソンと競歩の会場を札幌に変更することに決めた」

と述べています。

30日から3日間、東京都も出席するIOC調整委員会で結論を出すことになっていますが、IOCバッハ会長の発言を覆す結論はありえないことであり、「手続き上の協議」と言えます。

IOCの権限の行使は、

1.総会
2.IOC理事会
3.会長

となっています。(オリンピック憲章より)

会長が「マラソンと競歩の会場を札幌に変更することに決めた」と発言した時点で、事実上の決定事項になります。

 

「オリンピック憲章」から今回の件に関する文章を抽出してみました。

オリンピック競技大会を開催する栄誉と責任は、 オリンピック競技大会の開催地として選定された、原則として 1 都市に対し、IOC により委ねられる。 しかし、適当であると判断できるなら、IOC は複数の都市、 あるいは複数の地域、 州、 国など他の行政単位をオリンピック競技大会の開催地として選ぶことができる。

開催地に関しては、日本国内であればIOCが適当であると判断すれば競技大会の開催地を選ぶことができます。

開催立候補地の国の政府は、 国とその公的機関がオリンピック憲章を遵守すると保証する、
法的に拘束力のある証書を IOC に提出しなければならない。

IOCは、日本政府ともある種の契約を交わしています。
もし札幌が開催を拒否したとしても、政府の指示や命令により開催を余儀なくされることでしょう。

オリンピック開催地契約は、 オリンピック競技大会の組織運営と財政、 開催に関する NOC とOCOG、開催地の責任を規定し、オリンピック競技大会の成功のためIOCの拠出金を定める。
IOC はオリンピック開催地契約が定める拠出金のほかは、 それと異なる内容の合意が書面で
なされていない限り、 オリンピック競技大会の組織運営と財政、 開催について財政的な責任
を負うことはない。

開催地契約が定める拠出金以外は、特段の書面での合意がなされていない限り、IOCは財政的な負担をしません。

 

東京都からすれば、IOCの対応は横暴に思えるかもしれません。

「選手ファースト」や「アスリートファースト」という言葉が使われますが、選手の人命や健康状態を第一に優先するのであれば、IOCの判断は適切かもしれません。

例えば、都道府県別熱中症による救急搬送人員数(平成30年)では、

平成30年4月30日~9月30日の期間において

東京都が7845人と都道府県トップの人数です。
一方、北海道は1359人と5分の1以下となっています。

マラソン期間中となれば詳細はわかりませんが、北海道(札幌)の方が熱中症のリスクは少ないことでしょう。

最後に、

仮に東京都がIOCの意見を受入れなくてもいい立場であったとしても、オリンピックは国際競技であり、IOCの意見を無視した判断は、国際的に避難を受ける可能性があります。

「暑さ対策」はマラソンや競歩だけではありません。

選手だけでなく、運営スタッフやボランティア、観客等も「暑さ対策」が必要となります。

マラソン・競歩の開催地は札幌か?東京か?

最終的に残るのは「財政問題」となることでしょう。